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杉並アステロイドベルト

2013/12/26(木) 16:14:48 [詩文・俳文]

 杉並区の、JR中央線京王本線とに挟まれた地帯をバスで縦走すると、一度は必ず、錯雑した狭小な経路の不可思議な空間を通過する。場所によっては、妖気すら漂わせている。永福町高円寺の経路も、下高井戸から桜上水を経て浜田山を結ぶ経路も、浜田山と阿佐ヶ谷の経路も、蘆花公園から高井戸を経て荻窪を結ぶ経路も、そうであった。
 何故なのか?
 東京都西部においてあるべき公共交通の姿を考えれば、中央線京王本線との間にはもう一本、東西に走る緯線が存在してもおかしくは無かった。太陽系におけるあるべき天体の構成を考えれば、火星と木星との間にもうひとつ、惑星が存在していても不自然ではないのと同じように。
 しかし現実には、火星と木星との間には、惑星は存在しない。存在するのは、アステロイドベルト、遂に惑星になれなかった、無数の小惑星の集合体だ。それと同じように、中央線京王本線との間には、緯線は存在しない。存在するのは、中央線の重力に屈して荻窪に吸着した丸ノ内線と、環七において夭折したその支線だ。どうしてそのまま真直ぐに、西に伸びなかったのだろう。
 井の頭線は彗星のようなイレギュラーな軌道でこのエリアを通過していく。
 だから僕はこの地帯を、杉並アステロイドベルトと呼称したい。
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トッキョォウ

2013/12/20(金) 15:16:23 [【12-13】オレンジをアップデート]

 早朝出勤の大江戸線の車内で見ていたツイッターで、次の次のオリンピックの開催地が東京に決定したらしいことを知った。
 職場ではウエノさんが、良く分からない手振りと同時に「トッキョォウ」「トッキョォウ」という発声を繰り返している。一体それは何ですかと聞くと、「オリンピックの開催地が東京に決まったことを発表した瞬間の、国際オリンピック委員会のロゲ会長」のモノ真似だという。今日は仕事であるにもかかわらず、ウエノさんは昨晩徹夜でゲームをしていて、その流れで早朝のその中継まで見てしまったのだという。ラテン系の人間だからか、ロゲ会長はその発音が独特で「トッ」の部分は促音っぽくなってしまうのだと解説してくれた。
 良く分からない手振りは、壇上の会長がカードを裏返して、TOKYOと書かれた面を見せる動作の真似だという。
 今日の仕事は楽だったので、ウエノさんは暇潰しに様々なことを教えてくれた。親切にも、新東京オリンピックを巡って、2ちゃんねるのどの板にどんなスレッドが立っているのかまで要約してくれたので、私にはテレビもネットも見る必要が全く無くなってしまった。こうして、私にとっての東京オリンピックは始まった。
 そのモノ真似が自身ではかなり気にいったらしく、今日は終日これを続けるとウエノさんは宣言して、事実その挙動を反復し続けた。それが本当に似ているのかどうかは私は興味が無く、今になっても判断材料が無い。この時点では滝川クリステルは全く話題にならなかった。夜になって杉並区には、非道いゲリラ豪雨が降った。

京王バス 永福町→高円寺南口

2013/07/01(月) 14:45:15 [【12-13】オレンジをアップデート]

 井の頭線永福町駅は、基本的には住宅街の中に位置しており、周辺にそれほど商業施設が多いわけではない。駅出口の近くには取りあえずドトールとケンタッキーとパチンコ屋とがあるが、マクドナルドは存在しない。駅周辺よりも、むしろ駅ビルの各階層に、生活上必要と思われる様々な店が集住している。スーパー、本屋兼文房具屋、パン屋兼喫茶店、洋服屋……。駅ビルの屋上は小さな公園のようなスペースになっており、週末の午後になると子供を遊ばせる家族連れの姿が散見される。
 高円寺駅南口行きのバスは、駅の東側を通る幹線道路の路肩から発着している。その車体は、一見して普通の路線バスと比べて明らかに小さく、短く、定員も少ない。乗ることが出来た。
 乗ることが出来た、というのは、乗客数のことではない。バス停の時刻表によると、このバスが高円寺まで直通している時間帯は限られており、夜は十八時台で終わってしまうのである。それ以降は、京王線と中央線との間の、どこなのか良くわからない杉並区のどこかで降ろされてしまうことになる。
 発車するとすぐに左折する。交差点には、つけ麺の有名店の一、永福町大勝軒の出汁の香りが充満している。同店前に並ぶ行列を後にしつつ、一方通行の商店街の、あまり幅広いとは言えない道を徐行していく。車窓からみた限りでは、この商店街はさほど賑わっているわけでも活気に溢れているわけでもないが、それでもそれなりに人の波がある。
 再び車道に出る。左折する。「高千穂商科大学入口」というバス停がある。全く知らない、名前も聞いたことが無いような大学だが、遥か以前、二十世紀の終わり頃に、試験監督か何かのアルバイトで来たことがあるような気がする。
 バスは右折して、再度住宅街の隘路を走り始める。大宮八幡という神社の森が視界の左手に結構長く続いた後、善福寺川を渡って、スポーツ公園のある一帯を通る。車窓には存外に緑が多い。誇大に表現するならば、初夏の明るい夕刻の緑のワープゾーンを通過している気にさせられる。疾走感は無いが、爽やかだ。
 住宅街の狭小な道を走り続ける。松ノ木住宅とか、松ノ木公園とかいう固有名詞に、時めくものを感じてしまう。こんなに狭い道を走るのだから、この路線はやはりこの車体でなければならなかったのだろう。コミュニティバスではないが、コミュニティバスに非常に近い役割を地域交通において果たしている。
 高円寺は割と良く遊びに行く街だ。駅南口のロータリーからこのバスが発着する風景だけは、何度も目撃していた。車体に表示される永福町の文字だけは認識していたが、それがどんな街で、またどんな道を通ってここまでやってくるのか、全く知らなかった。今、このバスが進むほどに、その全く知らなかった道が明らかにされていく。
 五日市街道に出る。大法寺前、丸ノ内線の新高円寺駅を経て、あとは普通の自動車道だ。北へ向かって直進し、終点までの所要時間は永福町から十八分。バスは回送車両となって去って行く。降車したバス停の隣のバス停の屋根の下で、ストリートミュージシャンが一人アコースティックギターを弾いている。まだ明るい。

すぎ丸となみすけの噂

2012/06/19(火) 21:51:45 [【11-12】夏と愛と]

 杉並区のイメージキャラクターとして元々存在していたのは「すぎ丸」で、それはマンガ家のみうらじゅんを始祖(いいだしっぺ)とするいわゆる一連の「ゆるキャラ」ブームよりもかなり以前から喧伝されていたはずで、自分が小学生の頃には区が発行する社会科の副読本にも登場していたのだが、何時の間にか後発の「なみすけ」に淘汰され完全にその座を奪われてしまった。「すぎ丸」の姿は今はマンホールの蓋ぐらいでしか見かけない。その名はわずかに、コミュニティバスの愛称としてのみ杉並の街に残されている。
 高円寺の酒場で、私より一回り若い青年にそんなことを教えられたので、「それって、セガのキャラクター史における、アレックスキッドソニックの関係みたいなもんですね。」と自分なりのパラフレーズで応答したが、世代的にその喩は彼には全く通じなかった。その場に同席していた、私より二回りぐらい年上の、リアルウルトラ怪獣世代の小太りの男性にも、当然わからなかった。最後の一人、私と同世代の男性もやはりわからない様子だったので、「まあ、あなたは若い頃海外生活してたから……」と何とか取り繕おうとすると、「いや、それは別に関係ないと思うよ」と淡々とこの話題自体をシャットダウンされた。

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