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「電線上のハクビシン」について

2010/03/02(火) 03:02:54 [【08-09】電線上のハクビシン]

このカテゴリーは、08年10月から09年9月の間に作成した作品の中から、ベスト100を選んだものです。
カテゴリータイトルの「電線上のハクビシン」はこの間に目撃した現象の中から、私が最もワンダーだと感じた光景を扱った作品から取りました。
(⇒作品「電線上のハクビシン」へ)

『電線上のハクビシン』を書籍化しました。
詳しくは下記のお知らせの記事をご覧下さい。
⇒【お知らせ】『電線上のハクビシン』を書籍化しました

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まだ見ぬ青空

2009/09/30(水) 23:29:16 [【08-09】電線上のハクビシン]

空ばかり見ている君の眼差しのその涯てに待つまだ見ぬ青空

路上ヴァイオリニストの正体

2009/09/30(水) 00:53:10 [【08-09】電線上のハクビシン]

繁華街の路上で流麗にヴァイオリンを弾いている
身なりの良い白人男性の正体は、
まずモルモン教の勧誘に間違いないと、
細長い風船を巧みに加工しては
ピンクパンサーやミッキーマウスの姿を鮮やかに創り出す、
やはり路上のバルーンアーティストの兄さんがそっと教えてくれた。
なるほど、近づくと確かにその旨を示すバッヂを胸に飾っている。
それはそれとして、ずいぶんと上手いもんですねという
私の間抜けなコメントに、
路上には似合わない連中だと兄さんは呟いた。

アメリカ山公園

2009/09/29(火) 00:17:57 [【08-09】電線上のハクビシン]

地中深く作られたそのプラットフォームから何重もの階層を登り続けて、
みなとみらい線終点である元町・中華街駅の地上部分にようやく辿り着く。
しかしアメリカ山公園を見るためには、
ここから更にエスカレーターかエレベーターを用いて、
もうしばらくは単調な上昇の作業を続けなければならない。

横浜の港湾部を見晴らす台地の一番端に位置するという、
この公園の立地条件の故である。
高速道路の高架を見下ろすぐらいの高さで、
向こう側には、ベイブリッジの構造物も観察される。
地下鉄駅の地上部分から、
さらに台地の地下をくり抜いた建造物を登った上に存在するという
この構造自体が珍しいのだろうが、
しかし公園内部の景観には、目新しい所はとりたてて見当たらない。

その名称にふさわしく(?)、
体格が良く手足の長い白人の少女達が芝生の上で戯れている。
カップルや家族連れの姿も散見する。

特に見るべきものもないので、
植込みの薔薇の写真でも撮影しようと思ったが、
海風の力の混ざった秋風にその花は揺さぶられて、
なかなか思うような画像は得られない。
秋の花々の蜜を吸うセセリチョウの類の姿が多かったので
それを撮っては見たけれど、
モデルが小さい上にせわしく動き回るのでやはり難しい。

アメリカ山公園看板
アメリカ山公園芝生
アメリカ山公園から見た高速道路
アメリカ山公園の薔薇01
アメリカ山公園の薔薇02
アメリカ山公園の薔薇03

目黒川に響く怪声

2009/09/28(月) 02:41:08 [【08-09】電線上のハクビシン]

神田川石神井川といった都内の他の河川と同様に、
目黒川もまた深く掘り下げられ、
両側を完全にコンクリートで固められた無機質な水路となっている。

空気を切り裂く奇妙な鳴き声が、
ただ一度だけその上空から不気味に響く。
おそらく日中は日比谷公園の池辺りに佇んでいて、
この時間になって新しい水場を求めてこの川沿いに飛来したものだろう。
荒川辺りからはるばるやってきたと考えるのは、
いくらなんでもあまりにも遠すぎるだろう。
つがいの鷺が飛んで行く。

秋分の直前の、そんな中目黒の夕暮れの空を、
アトラスタワーが不必要に威圧する。

中目黒の夕刻@ミヅマアートギャラリー5階
山手通り×駒沢通り交差点@中目黒

路上の私の読者に

2009/09/25(金) 01:23:39 [【08-09】電線上のハクビシン]

秋の夜の路上に僕も詩を売ろう月の光の命ずるままに

秋の空と女

2009/09/24(木) 03:08:43 [【08-09】電線上のハクビシン]

秋霖の美人予報士困らせる女心に勝る気まぐれ

東向島

2009/09/23(水) 02:13:00 [【08-09】電線上のハクビシン]

セブンイレブン、マクドナルド、ドトール、百円ローソンの
ワンセットが一通り揃ってこの駅のただ一つの出口を降りる者を迎える。
東武伊勢崎線の優等列車通過駅に良く見られる、
こじんまりした高架下の駅前のレイアウトは、
例えば現在の足立区役所の最寄り駅である梅島あたりと共通だ。

駅名の表示板に小さく括弧つきで記されているように、
東向島は旧名玉ノ井の地である。
かつて多くの文人に愛されたと言う、
その色街としての華やかさや淫らな気配はほとんど感じられず、
淡々とした、下町の日々の生活がそこにはあるだけだ。
ただ、その道はやたらと屈折が多く、見通しが悪いものとなっており、
そこにこの土地の陰微な歴史の名残を看取することも不可能ではないだろう。
またそのために、土地の形も四角形ではない場所が多く、
使い道のない半端な空間が結局は小さな公園とされているのも目につく。
この辺は、同じ墨東の地でも、
整然とした碁盤目状の区画整理がなされている江東区辺りとは、
明らかに異なっている部分だ。



直角が見えない平面
ありし日の隠微さ
黄色い秋の日が差す



(山頭火の句を借りて)
「まつすぐな道でさみしい」
然れども
曲がりくねった道はやらしい



狭く複雑な街路を幾重にも覆う秋の夕暮れの電線の上に、
オナガが数羽止まっている。
最近都内において再び増加傾向にあると報じられているカラスではなく、
オナガであるのは、
近隣に向島百花園があるためだろうか?
いずれにしても東京スカイツリーの姿はまだ見られない。

東向島駅表示板
東向島の商店街
東向島の建築物01
東向島の建築物02
東向島の謎の神社

東武博物館リニューアル

2009/09/20(日) 03:10:12 [【08-09】電線上のハクビシン]

 日比谷線の中吊り広告で東武博物館のリニューアルが宣伝されているが、この広告にしかるべき集客効果があるのかどうか疑問である。城西から横浜方面に住む東急東横線の沿線民が仮にこの広告に興味を引かれたとしても、北千住で東武伊勢崎線と合流する日比谷線は、この博物館が所在する東向島駅をそもそも通らないではないか。
 
 東向島駅南側の高架下スペースに設けられた東武博物館の入館料は、二百円と、極めて割安なものとなっている。幼い子供を連れた母親の姿が多いが、ランニングシャツを着たいかにも下町らしい中年男性や、学校帰りの中高生らしき男の子もそれぞれに遊んでいる。どこのゲームメーカーのものかは確認しなかったが、運転席シミュレーターはやはり人気で行列が出来ている。
 リニューアルとは言っても、元々の姿を知らないのでどこがどう変わったのか良くわからない。昔日の東武車両の歴史遺産としての価値も、東武とほとんど縁が無く育った私にはその本当のところが理解できないので、特に深いことは何も考えずに、ただ漫然と展示物を眺める。私鉄では貨物輸送を最後まで行っていたことを、東武鉄道ではとても誇りに思っていることは伝わってきた。
 時間を定めて行われる、鉄道模型や蒸気機関車の実演ショーを幼児達に混じって見物する。
 それなりに楽しい。
 池袋と浅草と日光と車両基地の風景が合成された鉄道模型のジオラマ上では、既に東京スカイツリーが完成している。その足元を東武特急スペーシアが何度も駆け抜ける。そうこうしているうちに閉館時間になる。

東武博物館入口
昔の東武特急01
昔の東武特急02
東武鉄道ジオラマ01
東武鉄道ジオラマ02
東武鉄道ジオラマ03


半蔵門線の短歌

2009/09/17(木) 02:11:33 [【08-09】電線上のハクビシン]

紫衣まとい今も忍者の東京の地下を疾駆す
半蔵門線



新しき世紀になってようやっと隅田川くぐる呑気な伊賀者

シジュウカラ、秋

2009/09/16(水) 00:27:27 [【08-09】電線上のハクビシン]

秋冷の冴えわたるまま
シジュウカラ、帰る、
囀る、
なお冴えわたる



(それは早春の日と同じ旋律)

春秋の切れ目に響く時の歌そういや最近涼しくなったね

新しい詩集

2009/09/12(土) 02:30:47 [【08-09】電線上のハクビシン]

この秋は
ビッグイシューを売る人の隣で
僕も詩集を売ろうか



今日、恵比寿で詩集が二冊売れた。
二番目に詩集を買ってくれた老女は、
ガーデンプレイスが出来る前の方が良かったといって、
三十分ぐらい愚痴をこぼしていく。
元々は下町の出身で、神主につけてもらったという
この老女の名前を借りた女勇者で
発売日から二か月遅れのドラクエⅨを始めようと思う。

『雑司ヶ谷下水道水難事件』新書版表紙
恵比寿口西口夜02
恵比寿駅西口夜01


夏の終わりのゆりかもめ

2009/09/06(日) 01:45:30 [【08-09】電線上のハクビシン]

(満員のその車内はクーラーの冷気が充分に行き渡らず、
やたらに蒸し暑い。)



お台場の夜景次第に遠ざかる
宿題の愚痴を少女がこぼす

021.jpg
020.jpg

アクアシティお台場神社

2009/09/04(金) 02:47:23 [【08-09】電線上のハクビシン]

ショッピングビルの七階屋上に建立された
アクアシティお台場神社に参拝すると、
その背後にあるフジテレビの社屋にも、
知らず知らずのうちに頭を下げていることになる。
社殿のすぐ上に、その球形の展望台が浮かんで見える。
不愉快な構図ではあるが、
マスメディアの扇動によって
埋立地の果てに出現した空虚な消費観光地というのが
現在のお台場の本質であるので、
消費社会の神であり、ラスボスである所の
テレビ局が神社の上位に鎮座しているこの風景は、
これはこれでこの土地の真実の姿を的確に映し出しているのかも知れない。

アクアシティお台場神社01
アクアシティお台場神社02

ガンダム台場に立つ

2009/09/02(水) 00:37:44 [【08-09】電線上のハクビシン]

 お台場潮風公園に直立する等身大ガンダムを遠くから眺めると、その背景にはコンテナ船用クレーンや冷凍食品会社の倉庫といった、港湾地区ならではの建造物が映り込む。見る角度によっては、「台場と芝浦を繋ぐハープ橋」も一緒に見える。こうやって見ると、この埋立地にもっとも似つかわしい人型ロボットは、普通に考えてやはりガンダムではなく、イングラムではないかと素朴に思えてくる。
 もちろん、現実的に考えてイングラムがこのようなイベントの主役としてこの場所に立つ事は、まずないだろう。ガンダムシリーズの持っている圧倒的な知名度、世代を超えた支持率、社会現象喚起力や集客力、祝祭性、要するに華やかさがパトレイバーには決定的に欠けているからだ。
 ガンダム世代や、エヴァンゲリオン世代(オタク第三世代)という言葉は存在しても、パトレイバー世代という言葉は存在しない。その話題性の欠如は、団塊ジュニア世代の真下に位置しているが故に、マイナーな世代として看過されてきた世代の、消費社会における実存をそのまま反映している。

 (パトレイバーのミームの一部が、『踊る大捜査線』の中に潜り込む形で、この埋立地文化の中でメジャー化していることをもって、この世代のオタク達はせめてもの慰めとするしかないのであろう。)

 まあ、そもそもモニュメントとしては、「等身大イングラム」は小さすぎるしな。(「船の科学館」に展示されている旧日本軍の超大型爆撃機ほどのインパクトもないだろう。)

 オフィシャルグッズショップには、六十分待ちの行列が出来ている。

 ガンダムが立っている広場の屋台は、どれもこれもやたらに高い。

 親子連れの父親の方が、今度はジオングが立ったら面白いのになと、小学生中学年ぐらいの息子に向かって言うと、その息子はすかさず、でもジオングには脚が無いよと、まことに理にかなった切り返しを放つ。
 将来有望である。
 将来有望であり、日本の未来も何だか明るいように感じられるが、脚なんか飾りであることはまだ分かっていないようだった。



アニオタ
平成の子も
その父も
全てを見守りガンダムの立つ

お台場ガンダム遠景
お台場ガンダムとレインボーブリッジ
お台場ガンダム正面
お台場ガンダム背面
お台場ガンダムバストアップ

お台場を歩いてみる

2009/08/31(月) 00:32:32 [【08-09】電線上のハクビシン]

埼京線が大崎駅を過ぎて臨海高速鉄道に乗り入れると、
やはり速度が上昇して、駅間の間隔も長くなるように感じる。
大宮以降の、川越線乗り入れ部分と似ている感覚だ。

臨海と言いながら、人がこの鉄道の車窓から海を望むことは、
一瞬もない。



それぞれに設計に奇抜な意匠を凝らした巨大建造物と、
江東区の番地表示の看板以外は何も無い、
雑草が生え放題の広大な空き地とが交互に目に入る。
地理的な諸条件に基づく起伏や、
歴史的な制約に基づく屈折が全く存在しないという点において、
お台場はやはり都市的であるというより、
むしろ郊外的だ。
埼玉平野の風景に似ているのだ。
だから、埼京線臨海高速鉄道線と相互乗り入れを行っているが、
このことは田舎である埼玉の人間を
臨海エリアという別種の都市的な空間に導いているのではなく、
郊外の住人である埼玉平野の人間を、
お台場と言うもうひとつの新しい郊外に、束の間移動させているだけなのだ。

さっきから見えているあの巨大な茶色のゲート型の建物はホテルらしいが、
利用客でもない人間がその下をくぐることは出来ないようだ。

お台場合衆国」と書かれたテントの前で、
ピクニックシートを敷いて行列を成している人が居る。
何の列かと聞くと、明日の「めざましテレビ」に出演するための列だと言う。
この真夏の白昼からそんなことをして、何の得があるのか、
そのテレビ番組はあなたの生活にとって何の意味があるのかと問おうと思ったが、
こっちが部外者のような気がして聞けなかった。

向こうから歩いて来るカップルの女の子は、涼宮ハルヒのコスプレをしている。

お台場のゲート型建造物

ガンダムエキスポ

2009/08/29(土) 00:31:57 [【08-09】電線上のハクビシン]

臨海高速鉄道線の国際展示場駅の周辺はこんな風景だっただろうか、
私の記憶はイマイチ曖昧である。
目の前の、このワシントンホテルというのを、
以前も見たことがあったどうかすら定かではない。
ビッグサイトにまっすぐ繋がる太い一本道の
右側にパナソニックのショールームが、
左側にマクドナルドとデイリーヤマザキがあったのは覚えている。

高架上を時折ゆりかもめが横切っていく。
ビッグサイトの背後や、その脚の間から、
羽田に向かって左から右に高度を下げていくジェット機を目で追いかける。
この辺は、まあ、以前から変わっていないのだろう。

ビッグサイト内のラーメン屋も高くて不味いままだ。



ガンダムエキスポのメインの客層はもちろん、
私より少し上の世代の男性ばかりのオタク集団だが、
会場にはその他にも親子連れ、カップル、
なかには女性同士といった組み合わせの人々の姿が見られる。
プラモデルを中心に、ガンダム関連の様々な商品が陳列されている。

有料ブースで行われているトークライブの声が聞こえてくる。
古谷徹のアムロ声は甲高くて、やはりよく通る。
マチルダさあんとか叫んでいる。

懐かしのガチャガチャが壁一面に並べられている。
様々な種類のものがある。
原典継承と銘打った、
ファーストガンダムの大河原邦夫デザインに忠実なシリーズが気になったが、
三百円とかなり高いので自粛し、
私がリアル子供の時に流行っていた、
SDガンダムのガチャガチャに挑戦する。

このシリーズは一回百円で、
ひとつのカプセルに二体のSDガンダムが入っている。
一体は普通のMSもしくはMA、
もう一体は武者ガンダムシリーズの何かという
組み合わせだ。
ザクレロを狙ってハンドルを回したが、
武者何とかとガンキャノンが出て来てしまう。
気を取り直して、今度はザクタンクを狙って
別のシリーズの機械で挑戦すると、
やはり武者何とかとパーフェクトガンダムが出て来てしまった。
どうやら私という男は、よくよくジオンの栄光に縁が無いようだ。



有明にジオンの栄光見えず




有明のジオンの残光無き
残暑



ザクレロの笑顔届かず僕の指

09年8月東京ビッグサイト1
09年8月東京ビッグサイト2
09年8月ガンダムエキスポ

戦場は空にある 事件は空で起こっている

2009/08/26(水) 00:04:40 [【08-09】電線上のハクビシン]

 近年、夏になると頻発するゲリラ豪雨の発生を予測するシステムを、幕張にある民間の気象予報会社が開発中であるという。何でも、首都圏の各地域に居住する一般の協力者から携帯メールで送られてくる、証言と写メールの情報を総合して、その発生の三十分前に該当地域に予報を伝えるのが、目標であるという。実際に、何例かは予報の成功例があるという。

 ゲリラ豪雨自体は、もちろん大気循環のシステムが生み出す自然現象の一つであるが、その原因としては、地球温暖化であるとか、ヒートアイランド現象であるとか、人間の営為に由来する幾つかの要素が数えられている。
 携帯メールによる即時的かつ大量の情報通信網は、一九九〇年代以降世界規模で続いている、コンピュータ技術の著しい整備とネットワーク環境の普及発展が可能にしたインフラストラクチャーだろう。
 人間の文明によって、少しく均衡を崩して幾分か奇形化し凶暴化した大気循環のシステムと、人間の生み出したテクノロジーの精華である電波と電子のネットワークに基づく未来予知のシステムとが、真夏の首都圏の上空で抗争を繰り広げる。

 戦場は空にある。
 事件は空で起こっている。



……何ものが、自分では何もしないでいてこの天地を動かしているのか?
あるいは、何かからくりの引きがねによってどうしようもなく動いているのか?
あるいは、ひとりでに動き出して自分ではとめようもないのか?

雲があって雨ができるのか?
雨があって雲ができるのか?
何ものが雲を興し雨を降らせるのか?
何ものが自分では何もしないでいて楽しみながらそれをすすめているのか?

 テレビ東京の情報番組が伝える所によると、首都圏各地の無数の人々からリアルタイムで寄せられるメール情報を統括する、この予報システムの運用責任を担っているのは、まだ二十代の若手女性社員であるという。カメラ映りを見る限り、なかなかの美人さんであるように見える。
 暴走する大気循環のシステムと、際限なく肥大化しまた精緻化し続ける情報通信のシステムの狭間に立って、あたかも人々の集合無意識を天気予報という形で具現化し言語化する役割を担った、現代文明における巫女のようである。



夏の空
禍々しさに満たされて
電波の思念にまた満たされて



人々の思念波統べて天仰ぐ女性予報士シャーマンのごと



(去年も、今年の夏も途中までは「ゲリラ豪雨」という言葉を、NHK以外のメディアは頻繁に使用していたと思うが、この八月下旬になって、ネットを含むどのマスメディアも俄かに「ゲリラ雷雨」という言葉に言い換え始めた。この方がより実態に即しているという判断なのか、それとも何ものかが、「現代におけるマスメディアの大衆洗脳能力」などを測定しようと密かに実験をしているのか。この言葉自体にも、微細ながらもひとつの権力闘争が存在するのかもしれない。)

通勤途上

2009/08/20(木) 01:51:42 [【08-09】電線上のハクビシン]

この街も何ヶ月目かと指折って、数えて、
蝉の、
死体が、
増えた。

山手線・夏

2009/08/18(火) 03:01:05 [【08-09】電線上のハクビシン]

原宿のホーム停まってドア開く刹那降り出す蝉時雨

この夏は雨ばかり降っていた

2009/08/14(金) 00:09:15 [【08-09】電線上のハクビシン]

恵比寿駅西口にて



生臭き魚屋の香に舞い踊るアオスジアゲハ
ようやく晴天

この世界に在るもの

2009/08/09(日) 02:33:27 [【08-09】電線上のハクビシン]

この世界には天国も地獄も無い。
来世など無い。
そんなものは忘れろ。
この世界にあるのはスラム
スラムリゾート
あるいは戦場と高級住宅地。
ただそれだけ。

この世界には輪廻転生など存在しない。
前世など無い。
あるのは偏差値。
あるいは学歴、収入、
容姿、皮膚の色、親のコネ。
ただそれだけ。

この世界には約束の地など存在しない。
あるのはただ、
先進国と後進国と資源大国と紛争国家と……。

コンビニやスーパーのレジで働くシナチョンや、
その他のアジアや南米から来た外国人労働者達は、
その現実を良くわかっているのだろう。
現代日本の最も醜悪で低劣な恥部である所の
あの肉便器達も、
その下半身が基準となっている行動様式から
本能的に理解していることなのだろう。

草食系男子だの弁当男子だのと称されている
君達や僕達も、
もうそろそろそういうことを理解する必要に迫られるのではないか。
そういうことを理屈だけではなく、
本当に、
つまり最も酷薄かつ最もシンプルな、
動物的な次元において理解する必要に迫られるのではないか。

マック主婦VS弁当男子

2009/07/28(火) 23:33:17 [【08-09】電線上のハクビシン]

職場の休憩室で、
パートの主婦達が
マクドナルドのメニューを食べているのをしばしば見かける。
子供のためには弁当を作っても、
自分自身のために作る気にはなれないのだと言う。
少し前のBSE騒動以降のことだと思うが、
最近のマクドナルドは、従来の牛肉由来のメニューだけではなく、
鶏肉や豚肉や、エビなどが素材の食品も増えているのだと言う。
携帯のクーポンなどを使えば、かなりお得な食事が出来るのだと言う。

彼女達が食べるジャンクフードは、
いわゆる家庭内家事労働からの、
束の間の解放を象徴しているものだろうか?
あるいは、昭和後期に人格形成期を送った世代の、
深層意識にまで抜きがたく浸透している、
アメリカ型消費スタイルへの盲目的な服従精神が、
このような形で時折顕在化するのだろうか?
彼女達がこのファストフードを摂取する休憩時間の束の間は、
パートタイマーでもなく、主婦でもない一人の女に、
あるいは無邪気な少女の頃に戻る時間なのだろうか?

食欲と性欲は近接するなどということを、
しばしば文学者は口にするけれど、
しかし彼女達のその姿から、
エロチシズムのようなものを感じることは余り出来ない。



嬉々としてジャンクフードを貪れる主婦の隣の
弁当男子



不可識の文化闘争存するか
マック主婦対弁当男子

目白五丁目のハクビシン

2009/07/26(日) 05:09:36 [【08-09】電線上のハクビシン]

路上に小動物がうずくまっている。
猫かと思ったが、そうではない。
ハクビシンである。
私の視線に気がつくと、慌てて金属の塀を駆け登るが、
爪がかかりにくいのだろうか、その時に二、三回滑った気がする。
塀の上から一度私の方を振り返って走り去り、
目白五丁目の住宅街の闇の奥に姿を消した。

既に蒸し暑い夏の夜だ。

自分の携帯にカメラ機能が装備されていないことを
この夜ほど悔やんだことはない。

恵比寿路上点景

2009/07/23(木) 23:53:29 [【08-09】電線上のハクビシン]

渋谷区恵比寿は、
東京メトロの一路線とJRが交差する駅があるというだけの街に過ぎず、
商業地としてのステータスや、
何らかのカルチャーを司る
記号論的・ブランド的・ヴェブレン的な価値を纏っているわけでは全く無い。
しかしそれでもその西口の、駅前の路上には、
それなりに多種多様に自らを主張する人々の姿が観察される。

ポケットティッシュを配る人。
ビッグイシューを売る人。
水曜の夜に決まってえびす像の前に現れては、
リヤカーに乗せた果物を売る国籍不明の外国人。
縦長の風船を巧みに捩って様々な形のオブジェを作る大道芸人。
ウッドベースの低音が夜の街を行く人々の耳目を集めるジャズバンド。
一人で直立してバイオリンを引くミュージシャン。
またオーソドックスにアコギを弾くストリートミュージシャン
そして少し前にマスコミにも取り上げられたという「聞き屋」。
無料で人々の愚痴を聞いてくれるという奇特な人である。

かつて池袋の路上で試みたのと同じように、
この街の路上で私が詩集を売る日が来るのだろうか。



スービエロックブーケに及ばねど

電線上のハクビシン

2009/07/13(月) 02:58:50 [【08-09】電線上のハクビシン]

だからこの街の夜道を歩く時は、
たまには空を見上げてみよう。
そこに人工の光に圧倒された貧弱な星空と濁った月しか見えなくても
上を向いて歩いてみよう。
幾重にも重なって張り巡らされ、
鈍く視界を遮る電線の束に覆われた景観が不愉快に感じられたとしても、
まさにその造化の光のエネルギーや、
電子によって表現された僕たちの感情や精神が通り抜ける細いロープを、
自らの獣道として東京の闇を渡って行く強かで小さな生き物の姿を、
君の運が良ければ目撃することが出来るかも知れないから。



夏の深夜の住宅街を歩いていると、
電線上を歩く小さな生き物を目撃する。
猫よりは少し小さいぐらいの大きさで、
尻尾は長く、耳は尖っている。
歩く速度はそれほど速いというわけではないのだが、
夜の暗さのためにはっきりとその姿を見ることは出来ず、
また街灯に接近すると今度はその存外に強い照度に妨害されて、
やはり満足に観察出来ない。

しかし猫は、送電線の上は歩けないだろう。
この付近でしばしば目撃情報が報道される狸でも、
もちろんないだろう。
おぼろげながらに見えたその顔から、
おそらくはハクビシンであろうと推察する。
人工物によって覆われ包囲された都市空間にあって、
それを巧みに利用して自らの生存圏に組み込んでいく。
その姿に、不思議な感動と勇気を与えられる。

その影の不敵なまでのマイペース。
その影の不吉なまでのマイペース。

悠然と、あるいは慎重な足取りで、
西武池袋線の方向に歩いて行って、やがて姿を消した。

サンシャインビルの照明が見える。



既にそこに存在している事物を
ただやみくもに否定したり憎悪したり破壊したりするのではなく、
それに本来の目的とは全く別の意味や機能を与えることが出来ないか
考えてみるのも悪くはないだろう。
カラスやネズミのような狡猾さや貪欲さや繁殖力が
僕達にはどこか欠けているとしても
ならばハクビシンのような独自の発想力と行動力を持って、
この街に自らの居場所を見出そう。
彼ほど鮮やかにそれをやってのけるのは中々難しいかもしれないが、
こんな小さな生き物にもそれが出来るのだから、
君や僕にも出来ないことはないだろう。

天体に由来するものであれ、
人智が産出したものであれ、
ひとたび夜の闇に放たれてしまえば、
光は最早、誰のものでもないのだから。

この街の夜道を歩く時は、
たまには空を見上げてみよう。

醜女

2009/07/07(火) 00:39:00 [【08-09】電線上のハクビシン]

同僚の言い寄る醜女を拒絶して今夜も僕は履歴書を書く

梅雨の広尾

2009/07/03(金) 02:21:47 [【08-09】電線上のハクビシン]

雀らの馴れ馴れしげに人に寄る
梅雨の合間の乾いた街角



外人もふてぶてしさやや取り戻す
梅雨の晴れ間の広尾の街角

ファミリー引越センターとキング引越しセンター

2009/06/26(金) 00:13:21 [【08-09】電線上のハクビシン]

 住宅街の一方通行路で二台のトレーラーが鉢合わせになって、立ち往生して道を塞いでいる。
 車体のロゴを見ると、一台は「ファミリー引越センター」もう一台が「キング引越センター」という業者のものらしいが、いずれも全く同じ、いすず自動車のピンクの車種である。
 大型車両のいかつさにあまり似合わないピンク色というのが何だか珍しく感じられるが、それがこんな所に二台揃って休日の朝からにらめっこをしているというのはなお珍しい光景ではないだろうか。



日曜の朝にピンクが道塞ぐ大型車両のドッペルゲンガー

JR川越線西大宮駅

2009/06/21(日) 23:24:41 [【08-09】電線上のハクビシン]

 大宮駅の地下ホームを川越方面へ向けて発車した列車がやがて再び地上を走り始める。車窓には鉄道博物館が見える。埼京線が川越線となるここから先は、快速電車も各駅に停車するようになり、一駅の間隔がこれまでより格段に長くなる。



 JR西大宮駅は、大宮駅のすぐ西側に位置しているわけではない。大宮の西の、日進駅の西に新しく開業した駅である。
 その周辺には、北口にも南口にも何も無い。ただ竹藪と森と、緑の濃厚な風景だけが広がっている。この駅と同じ日に開業したJR南武線の西府駅には、かろうじて商業施設として、駅構内に小さな売店が存在したが、この駅の周辺には本当に何も無い。
 駅の北側では現在バスターミナルが造成中だ。少し歩いた所を通っている幹線道路の向こう側にある、埼玉栄高校とさいたま市西区役所の建築物だけが、かろうじてこの地にモダニズムというか、文明の雰囲気を伝えている。
 西区役所内の食堂で、やけに旨く感じられるランチのマーボー丼を食べていると、窓の外に一羽のセキレイの姿が見える。やはりまだ何も無い、開業したばかりの頃の越谷レイクタウンで、やはりこの鳥の姿を見たことを思い出す。セキレイは空き地を好む鳥だというが、そうであるからこそ日本神話において天地開闢のシンボルとされているのかも知れないなどとどうでも良いことを考えたりするのも、あの時と同じ経験だ。

 幹線道路沿いに東に進むとマクドナルドやラーメン屋や、讃岐うどんの丸亀製麺や携帯ショップが固まっている。丸亀製麺や携帯ショップがある所などは、ここ数年の消費動向を反映しているのだろう。いずれにしても、この交通環境から、現在の時点ではまだこの地域の商業はロードサイドの車社会型のようだが、新しい駅が出来たこれからはどう変わっていくかはわからない。

 古墳だという土地は、ただの雑草が茂った盛り土、廃土置き場にしか見えない。

 後は一面の農地で、葱畑や竹林などが広がっている。肉食性の蜂が芋虫を持ち運ぼうとしているが、その重さに耐えかねたのか路上で休憩をしている。再び持ち上げようとしてなかなか持ちあがらず苦戦しているようだ。



埼玉の森と雲とに覆われて
かくも長閑な
殺戮の園



 大規模な宅地造成が始まっている現場で、大手ゼネコンのヘルメットを被った作業員と、地元の地権者らしき老婆が話をしている。URからの発注を受けて工事をしているという。この辺には貴重な植物が生えているから、明日役所の方から調査員が来るとか、工事中に蛇が出たとか話している先から、遠くの方の作業員が蛇がまた出たと知らせて来る。かくも長閑な殺戮の園。

 駅の北口の近くには、スケッチブックに水彩絵の具でそのファサードを描いている年配者の一団が居る。新しい駅を見るために日高市から来たと言う。工事の柵のために駅の顔が良く見えないとか、バスの姿がイマイチ上手く描けないとか謙遜しながらその中年女性は恥ずかしそうにはにかむ。ガラス面によって構成される駅の表情の、光の反射の角度による微妙な違いを表現するのに苦戦しているそうだ。



 駅の南側は本当に畑と水田と民家しかない。
 茄子が艶やかになっている。
 少し離れた畑の畦道から駅の姿を改めて眺めてみる。



台形のガラスの船のただ浮かぶ
畑の海にぽかりと浮かぶ



 もうそろそろ帰っても良いかなという気になってくる。

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