猫かと思ったが、そうではない。
ハクビシンである。
私の視線に気がつくと、慌てて金属の塀を駆け登るが、
爪がかかりにくいのだろうか、その時に二、三回滑った気がする。
塀の上から一度私の方を振り返って走り去り、
目白五丁目の住宅街の闇の奥に姿を消した。
既に蒸し暑い夏の夜だ。
自分の携帯にカメラ機能が装備されていないことを
この夜ほど悔やんだことはない。
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Author:青条美羽
現代文明において観察される様々な事象を主な題材に、独自の視点からエッセイ・散文詩・短歌その他を創作しています。自作の詩文集も制作しております。
連絡先:seijyomiu@yahoo.co.jp