ナスタチウムは不屈の闘志

2009/11/30(月) 00:35:10 [【09-10】ちぃばす麻布ルート]

 スーパーの店頭で百円で売られていたナスタチウムをベランダのプランターに何となく活けておいたのは春の終わりのことだったが、マンションの管理会社が夏に行ったリフォーム工事の際にかなり乱暴な扱いを受けて、一度は完全に枯れてしまったかに見えた。しかしこの、まもなく冬を迎えようという時期になって、その茎と葉が何本か、再び立ちあがろうとしている。



今決めた私が決めた花言葉ナスタチウムは不屈の闘志
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モーニング・グローリー重なる(嗤)

2009/11/29(日) 01:52:26 [未分類]

NHK総合で土曜日午後八時から放送されている「ワンダーワンダー」で、モーニング・グローリーという不思議な雲の特集をしていた。何百キロにもわたって一直線に連なった雲が回転しながら進んでくる現象で、何でも、雨季直前のわずかな期間にのみ、オーストラリアで発生するのだという。珍しいなと思ってこの番組を見終わった後、九時からの「世界ふしぎ発見!」を見ようとすると、今日の不思議は……モーニング・グローリー!
単なる偶然か、NHKの意図的な嫌がらせか、それとも、テレビ業界の中で悲鳴を上げているどこかの製作会社が、暗黙のメッセージを込めたのか????

空の溜息

2009/11/27(金) 00:27:57 [【09-10】ちぃばす麻布ルート]

秋風は空の溜息。
吐くたびに雲を千切って淋しさを撒く

李白「秋浦の歌 其の九」

2009/11/27(金) 00:24:28 [漢詩漢文の勉強]

江祖 一片の石
青天 画屏を掃う
詩を題して万古に留むれば
緑字 錦苔生ぜん

行き詰まる詩人

2009/11/26(木) 00:55:20 [短歌]

行き詰まる詩人が一人
完璧な秋天一碧
壁に思えて

李白「りょく水曲」

2009/11/26(木) 00:48:20 [ボキャブライブラリー]

愁殺:愁いに耐えがたい様。殺は強調の助詞。

根津美術館リニューアル

2009/11/25(水) 00:26:25 [【09-10】ちぃばす麻布ルート]

 壁面の竹と植込みの竹に挟まれた歩行者用通路の静寂と暗度は、これから東洋の伝統美術を鑑賞しようという来館者の精神を、外界と適度に隔絶された静謐な状態に整調するために意図的に設計されたものだろう。車寄せのあるエントランスから直接入館する人間は、せっかくのこの演出を知ることがない。

 リニューアル後第一弾となる今回の企画展示では、この美術館が所蔵する東洋の工芸品、美術品、考古遺物などが、とにかく豊富に並べられている。古代中国の祭祀に使われたのであろう、双頭の羊の青銅器を見た若い女性が一言、「カワイイ!」と言う。なるほど、言われてみれば確かに可愛いという形容は、この羊達にふさわしいもののように思える。美術館側も同じようなことを考えたのだろうか、チケットにも、ミュージアムショップの絵葉書や各種グッズにも、キャラクターグッズよろしくこの双頭羊の姿はあらゆる所で頻繁に用いられている。(考古遺物なので表情には笑顔も愛嬌も特にないのだが、考えてみればキティちゃんやリラックマだって特に愛想笑いをしてくれるわけでも、瞳に感情が込められているわけでもない。)



双頭の羊は瞳に古の王家の光を今もなお秘め



 白人の姿が多い。展示物の写真を勝手に撮影している男がいたので、館の人間に通報すると、慌てて注意しにやって来る。
 外人が感動するポイントは、日本人とはやはりどこか違うようで、館の裏側の日本庭園の苔を見て「モス、モス」としきりに感嘆していたりする。南青山から六本木に向かっては、こんなに下り坂になっていたことを、この庭園の斜面を歩いて初めて体感する。松林の梢の間から森タワーが覗く構図の写真を撮ろうと、色々と位置や角度を変えて試していたら、初老の女性から撮影を頼まれたので引き受ける。

 前日関東地方を通過した台風の残余の風が、時々大きな音を立てて木々を揺らしていく。

根津美術館通路
根津美術館正面
根津美術館入り口
根津美術館屋根
根津美術館より森タワー

バイロン「私は世を愛さなかった」2

2009/11/14(土) 05:16:12 [引用▼海外]

私は世を愛さなかった、世もまた私を――
所詮、敵ならばいさぎよく袂を別とう
だが私は信じたい、彼らには裏切られたが
真ある言葉、欺きえぬ希望があり
めぐみ深く、過失の孔をつくらぬ美徳があると

三菱一号館復元

2009/11/13(金) 01:54:31 [【09-10】ちぃばす麻布ルート]

 日本のエリートサラリーマン文化、上流ホワイトカラー文化そのものを創始したのは我々であるという三菱グループの自負が、高層ビルの立ち並ぶ丸の内の一角に、昔日のレンガ造りの低層建築物を復活させた。日本近代史の、最も華やかな「正の遺産」とでも称されるべき建物が、穏やかな秋の日に穏やかに佇んでいる。明治時代当時の建材と技術とを、可能な限り近い形で再現することを試みたという。
 (『Sa・Ga2秘宝伝説』のリメイクもこれぐらい原典に対して忠実であれば良いのに。)

 建築計画のディテール以前に、二千ゼロ年代も終りに近づいいた現代に、この場所に低層の建築物と広場を作ること自体が、圧倒的な贅沢である。しかしながら、三菱一号館に始まり、「一丁倫敦」と呼ばれるまでに至る丸の内オフィス街の歴史と、その再現プロジェクトとを誇らしげにプレゼンする企画展示が教えてくれるのは、明治においても平成においても、ホワイトカラー文化の華々しさを支え続ける実質としての、職人達の仕事の圧倒的な量と質だ。近代国家日本のインフラは、このクラフトマンシップによって存立してきたことを思い知る。
 漱石露伴は同時代人である。
 内装の漆喰の白壁の美しさが、触覚までを通って脳に伝達される時、そのような事を考える必要は全くないのだけれど。



秋風もしばしモダンを追憶す



ビル風の時にレンガを齧りつつ

オフィス街の中の三菱一号館
三菱一号館正面玄関
三菱一号館02

バイロン「私は世を愛さなかった」より1

2009/11/06(金) 03:41:32 [引用▼海外]

私は世を愛さなかった、世もまた私を――
彼らの臭い息の前に諂ったこともなく
彼らの偶像の前に、恭しく膝を屈したこともなく
心にもない笑いを頬に浮かべもしなかった。

うつろな木魂を崇めて、高らかに叫んだこともなく
人群れの中にありながら、その仲間とは扱われなかった。
彼らと交わりながら、ただひとり立ち
屍衣のように、人と異なる思想を身にまとった
今もなお、というべくは、あまりにも心屈して汚れたのだが――。

池袋メトロポリタン脇その後

2009/11/04(水) 01:33:35 [詩文・俳文]

かつてホームレスが寝っ転がり、
シナ人の二胡奏者やストリートミュージシャンや僕や猫が
めいめいに思うままに活動をしていた、
池袋メトロポリタン脇の貧相なビルの前の広場。
仲秋のある日曜日の午後、珍しくエレキギターを携えた一団が演奏をしている。
シンセサイザーで弾き語りをする女性ミュージシャンは見た記憶があるが、
エレキギターは珍しい。
彼等から少し離れた場所で、
本当に久しぶりに、この場所で自分の詩集を売ってみる。

音楽には国境も人種差別もないけれど……
たて笛吹きはギタリストに見下される

私がやってきてから十五分後ぐらいで、
急にアンプの電源が切れたとのことで、
彼等は演奏を中止してしまった。
その後もけっこう長い間、何をするでもなく立ち話をしていたようだったが、
やがて去っていった。

去年の冬から盛んに工事をしていたこのビルは、
十一月には「エソラ池袋」という東京メトロの商業施設として生まれ変わるらしい。
柵に囲まれたその中を、工事の人間が盛んに出入りする。



帰り道の途中、予備校前の路上で
カロリーメイトの新製品「メイプル味」の試供品が配られている。
そのビラでは『ドラゴン桜』のあの教師が早起きの大切さを説いている。

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