。日本の負担は
二つの波だ、
太平洋と、日本海と、
そこには激しい満干がある。
波は重圧な呼吸をして
この狭い島嶼の上に
ちかぢかとその白い顔を寄せる。
だがなんといふ親密な
母親のような海であらう。
夕方になるうと
私は足を濡らしながら
貝殻を拾ってあそぶ、
乾涸びた魚や、
時にはヨーロッパの船具や
色の変わった砂粒など、
波の上には新聞紙が漂っていることもある。
殊によったら日本は
磁力をもっているのではないかと思う。
……
入江の美しいのは
波の交流の激しさをかたり、
松の堅固なのは風が強いからだ。
友よ、ヨーロッパの友。
日本の不当な称賛を止めよ。
韻律の日本の実体は
海の潮騒のような
厳粛沈痛なものと知ってくれ。
スポンサーサイト