白楽天「琵琶引 序」より

2011/12/29(木) 00:39:26 [漢詩漢文の勉強]

……曲おわりて憫黙し、自ら小小の時の歓楽の事、今は漂淪憔悴し、江湖の間に転徙するをのぶ。予は出でて官たること二年、恬然として自ら安んずるも、この人の言に感じ、この夕べ初めて遷謫の意あるを覚ゆ。……



憫黙:悲哀に沈んで黙り込む
漂淪:あちこちを転々とさまよう。
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川崎市藤子・F・不二雄ミュージアム

2011/12/27(火) 18:54:59 [【11-12】夏と愛と]

小田急が人身事故で遅れてて予約時間に間に合うのかな……



 向ヶ丘遊園駅の生田緑地側の駅横テナントに入っている箱根そばで食事をする。小田急沿線の土地に来たという実感が何となくしてくる。バスロータリーでは、ミュージアムのプラカードを掲げた男性の係員が直通バスと入館時間の案内をしているが、訊ねてみると徒歩でも充分に間に合う時間と距離だというのでそうする。少し歩くと、近年中京エリアから首都圏への進出が話題となっているコメダコーヒーの店が何故か在る。ダイエーがあって、さらに進むと教えられた通りに川沿いに遊歩道が続いている。その道なりに行けば、目的地である、川崎市藤子・F・不二雄ミュージアムであると言う。
 川沿いのその路には、既に藤子Fキャラの銅像やレリーフが幾体か設置されて来館者を迎える。柄の悪い男女の若者の集団がコロ助の像に絡んでいる。これとは別にカップルもしくは若夫婦が無邪気に記念撮影をしたりしている。川の対岸にはあまり幅がない幹線道路が走っていて、その向こう側からは直ぐに緑の丘が迫っている。この街の平地部分は、どうもそれほど広くないようだ。

 丘の斜面に半ば食い込むようにして、藤子・F・不二雄ミュージアムの建物はある。変に奇を衒った所も無い、ごく普通の公共建築物といった外観である。その正面はバスロータリーとなっていて、車体一面に藤子Fキャラが描かれた、ミュージアム直通路線専用のバス達が発着している。
 一階のエントランスには既に長い行列が出来ている。このミュージアムは一日に四回の入館時間が設定された完全前売り予約制で、もちろん私もそのチケットを事前に準備しているので、入れないという懸念は全くない。今回に関してはそうなのだが、小田急やJR南武線などの公共交通機関が大幅に遅延した場合はどのように対応してくれるのかが気になった。
 他の客と同じように、建物やバスの写真を撮ったりして入館時刻を待つ。特にバスは大人気だ。
 行列には、小さな子供を連れた母親、そんな母親達のグループ、若いカップル、女性同士といった種類の人々の姿がある。もちろん男性の、オタクらしき人々も混ざっているが、全体的に女性の姿が多いように感じる。初老の女性の姿も時折みられる。

 時刻になる。係員の誘導に従って列が進む。彼女達の来ている制服といい、雰囲気といい、美術館の職員というよりも、何だか一昔前の、家電メーカーのショールームのコンパニオンのような感じがする。それはもちろん、いわゆるテーマパークの「キャスト」とも違う。万博会場の案内係に近い。
 音声ガイドが入館者全員に配られる。無料だ。(無料の音声ガイドで、ふと六本木ヒルズの森美術館を思い出した。)
 展示を見る。順番は、それほど細かく指定されてはいない。藤子Fのライフヒストリーについて、少年時代から一通りの紹介があり、主要作品の成立過程が解説され、生原稿のレプリカが展示されている。人でごったがえしているので、見られるものからどんどん見て行く。
 基本的に、そんなに新しい発見があるわけではない。両藤子不二雄の人と人生については、既に多くの事柄が語られているし、何より『まんが道』(藤子A)という不朽の自伝作品が存在しているからだ。ただ、藤本夫人や子供とのエピソードはやはり興味深い。SF短編についてきちんとスペースを割いて紹介をしているのは、これから藤子F作品を読もうという子供達にとっては良かったと思う。



 藤子Fが少年時代に描いていたマンガの中に、恐竜が出て来る。その画風にはやはり、手塚の影響が色濃く見てとれる。しかしその首の筋肉の、簡潔な描線の中なる迫真には、まぎれもなく後年のピー助の面影がある。



 『パーマン』に関連した展示コーナーで「鉄の棺おけ突破せよ」の扉絵を見つける。これは、パーマンの中では珍しい続きものの話で、とある全体主義国家の「鉄の棺おけ」と呼ばれている要塞にパーマン達が潜入するという、アクション映画のようなシリーズだ。描かれた時代は東西冷戦の最中、敵としてイメージされているのは当然旧ソ連だろう。私が読んだのはもちろん八十年代以降の「藤子不二雄ランド」に収録されたものである。こんなレア物を発見して大いに満足する。



 木手英一は紛れもない天才少年である。自律的な知性と精神とコミュニケーション能力を持った人型ロボットを開発製造する以前から、彼は既に天才であった。キテレツ斎が残した『キテレツ大百科』は江戸時代の文献である。ならばその文章は当然、当時の仮名文字(変体仮名文字)か、もしくは漢文それも白文(読解記号も送り仮名もなくただ漢字がズラズラ並んでいる文書。当時の知識階級の標準的な記録形態)のはずだ。それらの近世文書を読解するためには、大学の日本文学科か日本史学科あたりで、もしくはカルチャーセンターでもそれなりの専門家を講師として、それなりの訓練を受けなければ困難なはずだ。しかしこの天才少年はそれを独力でやってのける。高畑も出来杉も彼には遠く及ばないだろう。



 パーマン五号の姿がどこにも見当たらない。八十年代の藤子不二雄ブームにおいて放送されたアニメのパーマンにおいては、パー坊の存在は最初から無かったことにされていたからだ。ミュージアムショップで売られているポスターの片隅にその姿をようやく見つけて少し安心する。



 展示スペースを抜けた所にある休憩スペースには、ドラえもんの単行本や、現在小学館から刊行中の藤子・F・不二雄大全集が揃えられていて、自由に読むことが出来る。子供も大人も読みふけっている。また、小さな子供向けの遊戯スペースも設けられている。この施設はミュージアムではあるが、親子連れを意識したテーマパーク的な性格が強い。逆にライブラリー、アーカイブ的な部分は前面には出てきていない。(その点は大宮の鉄道博物館と似ていると感じる。賛否両論もあるだろうが、そのことが悪いとも言えない。)
 カフェには大行列が出来ている。二時間待ちと表示されている。
 
 屋上は庭園になっている。ドラえもんの主要舞台である空地の三本土管とか、開きかけたどこでもドアといったオブジェがあちこちに配置され、それぞれに思い思いに記念撮影をしている。ピー助の像が特に人気が高いようで、その前でぶらぶらしていると、シャッターを押してくれと頼まれたりする。しかし人々は気づいていない。この著名な、劇場版第一作のキャラクターの右後方のずっと奥、ミュージアムの敷地なのか外の山林なのかもわからない位の遠方の茂みにぽつんと置かれた洋犬の首像もまた、れっきとした劇場版キャラであることに。『のび太の大魔境』は密林の峡谷に隠れた犬人間の文明と邂逅する話であるが、この石像は川崎の丘陵の森林と余りにも違和感なく一体化しているようだ。晩秋の早い夕刻に彼を発見し得た自分自身を誇らしく思うと同時に、この場所にこのミュージアムを建てたことは正しい選択であったと思えてくる。



 登戸駅直通の帰りのバスを待つ行列で、女性の二人組が次に来る時の相談を既にしている。

白楽天「初めて江州に至る」より

2011/12/20(火) 09:22:34 [漢詩漢文の勉強]

樹木は凋疎 山雨の後
人家は低湿 水煙の中



凋疎:枯れてまばらなこと

諱(いみな)

2011/12/19(月) 23:17:56 [短歌]

 (守山ダダマ氏主宰の朗読イベント「吉読」が、会場店舗の夜逃げにより中止を余儀なくされた。)
 (世の中にはそんなことも現実にあるのかと、何だか不思議な気持ちになった。)



イベントが中止になった雨の夜に居合わせた人に諱(いみな)を明かす

白楽天「燕子楼三首」より

2011/12/19(月) 07:59:30 [漢詩漢文の勉強]

幽独塊然:一人ひっそりと佇むさま。

その歌じゃオメガもギーグも

2011/12/18(日) 22:37:33 [【11-12】夏と愛と]

女(メス)の気を魅きたい程度のその歌じゃオメガギーグも止められないぜ

【お知らせ】タコシェに『ちぃばす麻布ルート』を納品しました【中野】

2011/12/18(日) 13:41:28 [お知らせ・近況報告]

東京・中野ブロードウェー3階のミニコミ書店、タコシェさんに『ちぃばす麻布ルート』を納品しました。
 タコシェさんでは様々なアイテムを扱っておられますが、青条の本は、ミニコミコーナーもしくはその近辺に配架されています。

 タコシェさんのサイトはこちらです。
 http://tacoche.com/
(タコシェさんに置いて頂いていた青条の著作のうち『雑司ヶ谷下水道水難事件』は完売しました。『電線上のハクビシン』は全く動きがないのに……不思議です。)

【お知らせ】国立国会図書館に『ちぃばす麻布ルート』を納本しました

2011/12/16(金) 16:25:43 [お知らせ・近況報告]

『ちぃばす麻布ルート』を国立国会図書館に納本しました。
複数冊納本したので、一部は国立国会図書館・支部関西館に回されるとのことです。

国立国会図書館のサイト
↓↓↓
http://www.ndl.go.jp/

老人にもRPG(ロープレ)を

2011/12/11(日) 11:13:35 [自由詩]

少年にはバスジャックが許されている。
世界に対する自爆攻撃が認められている。
破壊活動、
刑法犯罪、
闘争もしくは、
逃走もしくは、
疾走。
破滅への旅。

けれども少年は勇者にもなれる。
世界を救う道が残されている。
冒険世界、
幻想空間、
架空人格、
自己実現、
英雄体験。
を、コンピュータゲームは少年に与えてくれる。
成長への旅。

RPGの主人公は、何故だかたいてい少年だ。

老人にはバスジャックが許されている、のかどうかはわからない。
けれども実際に、それは起きてしまった。

そして老人は勇者にはなれないようだ。
コンピュータゲームは老人に与えてくれない。
RPGの主人公は、何故だかたいてい少年だ。

冒険世界、
幻想空間、
架空人格、
自己実現、
英雄体験、
が老人にも必要なのだ。
老人にもロープレを!
すなわち老プレを!!

RPGの主人公は、何故だかたいてい少年だ。
オレはガラフと最後まで旅をしたかったよ。

白楽天「八月十五日の夜、禁中に独り直し、月に対して元九をおもう」より

2011/12/11(日) 08:19:32 [漢詩漢文の勉強]

渚宮の東面 煙波冷やかに
浴殿の西頭 鐘漏深し



煙波:水辺の靄や波

【お知らせ】年越詩祭2011にエントリーしました【ネット詩人】

2011/12/08(木) 05:13:05 [お知らせ・近況報告]

ウェブ詩人のぼうひとさんが毎年年末に企画・運営されているネット上での詩のイベント
「年越詩祭」がこの年末も開催されます。
青条もエントリーしました。
会場は下記のブログ、期間は2011年12月29日から2012年1月2日までとのことです。

年越詩祭2011のブログはこちらです。
↓↓↓↓
http://toshikoshi.blog8.fc2.com/

同イベントは、その年に自分が作った作品の中から一作を選んで投稿するという形式のものです。
青条は今回はどの作品にするか、現在検討中です。
(今年はやはり震災か、原発関連の作品が多くなるのでしょうか?)
興味を持たれた方は、是非一度上記のブログをご訪問下さい。
今からでもエントリーは可能なようです。
よろしくお願いします。

首都高渋谷線上り用賀PA

2011/12/08(木) 02:43:21 [【11-12】夏と愛と]

 高速バスの降車場と若干の駐車スペースとがあるだけのこの狭小なパーキングエリアには、トイレと自動販売機と交通情報を伝える電光掲示板が入った小さなビル以外には何も無い。常駐のスタッフもおらず、ただ掃除のおばさんが作業をしているだけだ。ドライバーが出入りするのは四階で、休憩スペースは三階。一階は東急田園都市線の用賀駅に接続しているので、首都高都心部の渋滞を回避したい長距離バスの客はここで降車してそのまま鉄道を利用出来る。この異種間乗り換えサービスはつい最近始まったものだという。



 夕方になると、狭い敷地の狭い植樹スペースに、驚くほど大量のセキレイが蝟集する。ねぐらになっているのだろう。セキレイは、駐車場のような開けた舗装面とは相性が良い鳥であるとは知っていたが……。蝙蝠のように無節操に飛び回る。鳴き声も振舞も下品なことこの上無い。郊外駅の周辺でしばしば見かける椋鳥達と同レベルの暑苦しさだ。幻滅である。人がばら撒いた餌にすぐに飛びつく雀などの群からは少し距離をおいて、一人静かに歩いている上品な細身の鳥というイメージが消失してしまった。



セキレイの加速するほど落日の速度も早まる気がして晩秋

【ご報告】「tamatogi」VOL.10に参加してきました【オープンマイク】

2011/12/07(水) 03:56:36 [お知らせ・近況報告]

12月3日、渋谷円山町のバー「Space turbo Bar&Gallery」において開催されたオープンマイクイベント
「たまとぎ」Vol.9に参加して来ました。
私は新刊『ちぃばす麻布ルート』を宣伝し、その中より「北風は」を朗読して来ました。

Space turbo Bar&Galleryさんのサイトはこちらです。
↓↓↓↓
http://www.kensscratch.com/gallery-space-turbo.html

主催者の桑原さん・イシダさんに御礼を申し上げます。
また私の拙い作品を聞いて下さった全ての方、
私の著作を買って頂いた方に改めて感謝を申し上げます。

脊椎雲

2011/12/01(木) 15:49:51 [【11-12】夏と愛と]

旻(そら)という青く巨大な生き物の脊椎の如き雲。
解れゆく。

青の悟り

2011/12/01(木) 14:53:07 [【11-12】夏と愛と]

あまりにも純粋な空に幸福も不幸も最早どうだっていい



マシーンの如くひたすら働いてひたすら書き続けるだけでいい

西新宿五丁目

2011/12/01(木) 13:52:08 [【11-12】夏と愛と]

 都営地下鉄大江戸線西新宿五丁目駅には、(清水橋)という副称がある。周辺を歩いてみる。朝の渋滞情報でしばしば名前が出る「清水橋交差点」というのはここの事なのかと初めて知る。
 駅前の立食い蕎麦屋の閉じ切られたシャッターに、テナント募集の貼り紙がされている。
 西に向って頻繁に路線バスが走る。京王バスである。あまりにも本数が多いので、そのつもりが無くても何時の間にか行き先を覚えてしまう。ひとつは「方南町経由永福町行き」、もうひとつが「佼成会聖堂前行き」である。
 「佼」という字は「佼成会」という固有名詞以外で使われているのを見たことが無い。「佼成会聖堂行き」という路線名も珍しい。例えば「創価学会○×会館行き」とか「幸福の科学△□支部行き」などという路線名はどこのバス会社もあまり付けたがらないだろうと思うが、この法人に限ってこの名称が許されるのは何故なのだろう。
 潰れた蕎麦屋の前で、色グロコーカソイドの男性が二人、正面から向き合って完全にぴったりと密着して立ち話をしている。新宿中央公園裏の閑静な住宅地の晩秋の夕闇に、非合法な取引が行われているようにしか見えない。

文学的ですね?

2011/12/01(木) 05:20:47 [詩文・俳文]

 ある職場で知り合った人が、煙草臭いというクレームを客から受けたと凹んでいた。
 慰めるつもりで、煙草臭いのがダメだったら、女性職員の香水の匂いももちろんダメなはずですよねと言ったら、唐突に「その考え方は文学的ですね」と返された。自分の今の発言のどの辺が文学的なのか、全くわからなかったので訊くと、煙草と香水を等価値なものと見做せる思考方法が文学的なのだと言う。それはむしろ理系的なのではないかと発言した当人としては思ったが、別に言い返したり議論したりする必要も無いのでそのまま受け流した。人から文学的と評されて悪い気分はしないのだが、もっとも相手の方も、柴田宵曲『俳諧博物誌』を読む休憩時間の私の姿をたまたま目撃して、何となく思いつきでそのように言ってみただけなのかも知れなかった。お勧めの文学者を聞かれたので、井伏鱒二と素直に答えたが、自分が影響を受けたのはその小説ではなくその詩であることを伝えなかったのは明らかな説明不足であったと後になって思った。

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