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中野のポプラ

2012/01/31(火) 23:28:19 [【11-12】夏と愛と]

中野駅北口バスロータリーにて)



そのままに冬の日向の休憩にぺたりと着地するポプラの葉



軽やかにでもなく厳かにでもなく
無我
在るままに雑踏(せかい)に降りる
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柴田『俳諧博物誌』より7

2012/01/31(火) 16:24:53 [引用▼日本]

つくづくと画図の兎や冬の月 仙化
つくづくと壁のうさぎや冬籠 其角

 この二句は『句兄弟』にある。『句兄弟』というのは、鯛の句にも一度出たが、前句に対して形が似ながら趣の異なった句を作る其角の趣向なので、全部で三十九番ある。(p214)……

高貴なる植物

2012/01/31(火) 00:17:34 [短歌]

醜悪なご都合主義の動物(にんげん)よ
高貴な植物の前に恥じ入れ

【オープンマイク】吉読Vol.11に参加してきました【吉祥寺】

2012/01/30(月) 15:49:10 [お知らせ・近況報告]

2012年1月28日夜、
吉祥寺のカラオケスナック「友友」(ゆうゆ)で開催されたオープンマイクイベント
「吉読」Vol.11に参加して来ました。

同イベントは、以前の会場店舗の夜逃げにより、
第11回目の開催が延期されていましたが、
このたび新しい場所が見つかり、目出度く再開されたとのことです。
(以前の会場の至近です。)

青条はこの日、新著『ちぃばす麻布ルート』より、「北風は」を朗読してきました。
当日、私の拙いパフォーマンスを聴いて下さった方々に、御礼を申し上げます。

このイベントが、これからも続くことを願って止みません。

「吉読」のインフォメーションブログは以下になります。
↓↓↓
http://blog.goo.ne.jp/kichidoku

(また、拙著『ちぃばす~』を2冊もお買い上げ下さった同店のマスターにも御礼を申し上げます。ありがとうございました。二冊のうち一冊は同店カウンターに常備されるとのことです。)

「自分の場所」

2012/01/29(日) 22:34:12 [短歌]

場違いだなどと思うなこの場所を「自分の場所」とすべく闘え!

柴田『俳諧博物誌』より6

2012/01/29(日) 20:29:23 [引用▼日本]

狼の口に入けり雨のてふ 丿松

 かっと開いた口に蝶がひらひら飛ぶ。折からの雨を避けて狼の口に入るように見えるというのであるが、狼の口という恐ろしいものと、可憐な蝶とを対照的に用いたので、いずれ空想の産物であろう。奇抜といえば奇抜である。

路上の精神主義者

2012/01/29(日) 04:01:08 [短歌]

羞恥などかなぐり捨てて精神のために路上で今日も闘う

【オープンマイク】OpenMic/wonder-words、Vol.4に参加して来ました【神楽坂】

2012/01/29(日) 02:32:04 [お知らせ・近況報告]

神楽坂のカフェ、キイトス茶房さんにて、2012.1.22に開催されたオープンマイクイベント、
OpenMic/wonder-words、Vol.4に参加して来ました。

青条は新著『ちぃばす麻布ルート』の告知・宣伝をしてきました。
またその中より「夢ではなく意志を持て」「中間ぐらいの存在です」を朗読してきました。

主催者の方々(服部剛さん/rabbitfighterさん/しえろ文威さん)と、
当日私の拙い作品を聴いて下さった方々に、改めて御礼を申し上げます。

また、拙著二冊(『ちぃばす~』『電線上のハクビシン』)とフライヤーを店内に置いて下さった、
キイトス茶房マスターにも、改めて感謝を申し上げます。

OpenMic/wonder-wordsのブログ
http://wonderwords.seesaa.net/

キイトス茶房さんのサイト
http://kiitosryo.blog46.fc2.com/

丸ビルの冬

2012/01/28(土) 05:21:01 [【11-12】夏と愛と]

行幸地下通りにて)

ぞろぞろと言うほど通らぬ丸ビル新丸ビルの間の地下道



丸ビル仲通り側にて)

この街で
人を数えて
日を終えて
中也の気持ちに近づけなくて

柴田『俳諧博物誌』より5

2012/01/27(金) 02:09:46 [引用▼日本]

 



夕立に取にがしけり熊使い 孟遠

岡本綺堂氏の『半七捕物帳』に「熊の死骸」という話がある。麻布の古川の近くに住む熊の膏薬屋が、店の看板代わりに飼っていた熊を、大火事の騒ぎで逃すと、人に追われて混雑の中に姿を現し、行く手の邪魔になる人をたたき倒す。その中に二人の武士のために斬り倒されるという出来事なので、『事事録』弘化二年の条に見えているから、当時の江戸にそんな事があったものであろう。孟遠の句はそれほどの大事件ではない。「熊つかひ」とあるけれども、後の曲馬団のような大がかりなものではなく、屋外で芸をさせる程度の熊ではあるまいか。……突然夕立の降って来た騒ぎに、熊使いも慌てたと見えて、大事の熊を逃がしてしまった。……作者はそのあとに来るべき騒動については何も示していない。……巷間蜚語紛々として、……それは小説家に一任して差支えのない問題である。(pp162‐163)



熊を馴らして飼うことは、昔もしばしばあったらしい。……

鶯や熊を養う人も出る 麦水

という句も何かそういう飼育者を詠んだものであろうが、如何なる場所、如何なる人であるか、これだけでは見当もつかぬ。(p163)

知らない街の日

2012/01/23(月) 23:20:47 [短歌]

ラーメンとギョーザでフツーに締めくくる知らない街の長い一日

【模戯試験】02.第146回芥川賞受賞会見(田中慎弥氏)

2012/01/23(月) 17:28:17 [未分類]

 以下の応答は、日本の純文学界において最も権威があるとされる賞を受賞したある中年男性の小説家が、その際に行った記者会見の模様である。よく読んだ上で、設問に答えなさい。

司会)田中さんに今の気持ちから一言

確かシャーリーマクレーンだったと思いますが、アカデミー賞の候補に何度もなって、最後にもらったときに「私がもらって当然だと思う」って言ったそうですが、まあだいたいそういう感じです。
4回も落っことされた後ですから、ここらで、断ってやるのが礼儀だと思いますが、私は礼儀を知らないので。
もし断ったと聞いて、気の小さい選考委員が倒れたりなんかしたら都政が混乱しますんで。A都知事閣下と東京都民各位のためにもらっといてやる。あの、とっとと終わりましょう。

(以下、質疑)

Q:東京で書いていない方が受賞しましたがそのことについては?

そのことに関しては感想はありません。

Q:ほかの受賞された方の作品については。

読んでないので分かりません。

Q:5回目の候補での受賞となりましたが

1回目で受賞するのがそれは一番いいので、5回目というのは間抜けです。
終わりましょうよ、もう・・。

Q:田中さんは20歳のころから・・・

それは、きのうもほかのところでしゃべったので面倒くさいんだけど。
いい、いい、終わり。

Q:B今まで働いたことがないことが話題になっていますが、仕事の見つからない若者に何かメッセージを。

それは人によって状況違うので、私が言えることはありません。
私は、本を読んで、小説を書いて作家になっただけです。

Q:携帯をお持ちでないと聞いていますがどのようにして受賞の連絡を。

都内の飲み屋で待っていて、プリペイド式の携帯を編集者が持っていて、それでです。

Q:受賞したという連絡はどなたかにしたのでしょうか

母です。

Q:お母様は何と言ったか

よかったねおめでとうと言うだけ。

Q:受賞が決まったという連絡があったときには何と答えたんですか

いや、ちょうだいしますと言うだけです。

Q:今後の作家活動に気持ちの変化は。

気持ちの変化はない。私は意欲はありません。

Q:さしつかえなければどんな気持ちの変化が

いや、だから気持ちは変わっていません。

Q:下関という生まれ育った町へのイメージを。

非常に渇いた町です。

Q伝えることが・・・???

それは今まで通りだと思います。

Q:私がとって当然だという発言あったがその思いは。

思いはなくて、当然だから当然。

Q:石原都知事に言いたいことがあるのか

おじいちゃん新党を作ろうとしているんでしょう。
だから新党結成にいそしんでいただければと思います。

Q:地元・下関では恩師の方から喜びの声もあがっていますが。

それはうそですね。私は教師に嫌われてましたから。本当のうそです。

Q:田中さん、きょうは不機嫌に見えるんですが。

だからとにかくもうやめましょうよ。円城さんがものすごく丁寧に答えてらっしゃったんで自分はそういう風には出来ないから不機嫌にやっているだけです。

Q:お酒を飲まれていますか。

ワイン2杯くらい。

Q:機嫌が悪いのはなぜ

だからこれがっ。

司会)機嫌が悪いと言うことなので、あと1、2問にしましょうか。

Q:人前で話すのが嫌い?

こういう場が好きな人間いないでしょう。政治家じゃないんですから。

司会)そしたら最後の質問にしましょうか。

Q:でも、講演をなさったりはしているが。

Cそれはギャラが出るんで。
出典:NHKかぶんブログ「芥川賞受賞会見:田中慎弥さん」
http://www9.nhk.or.jp/kabun-blog/800/106738.html



問題1.下線部Aにおいて、閣下という敬称を話者は用いている。この敬称に込められたニュアンスとして、最も近いと思われるものを次の1~4より選択せよ。

1.話者は芸能人のデーモン小暮閣下を崇拝しており、デーモンと同等の尊敬を都知事にも抱いていたので使った。

2.話者は都知事を内心見下しており、「格下」のつもりで「かくか」と発音したのを、記者がこのように表記した。

3.自作に余り好意的ではなかった審査員=東京都知事石原慎太郎に対し、大袈裟な敬称を用いることでその尊大な言動を皮肉った。

4.話者はシャーリーマクレーンと同程度に、デーモン小暮閣下や石原慎太郎を尊敬しており、その気持を込めた。

問題2.下線部Bに関して、このような社会的状態に対する呼称として、最も適切と考えられるものを次の1~4より選択し、選択の理由を50字程度で説明せよ。

1.ニート
2.ひきこもり
3.無職
4.高等遊民

問題3.下線部Cに関して、この男性作家が置かれた状況に対する呼称として、最も適切と考えられるものを次の1~4より選択し、選択の理由を50字程度で説明せよ。

1.勝ち組
2.職業作家
3.文化人枠
4.ツンデレ

冬の邁進

2012/01/21(土) 22:45:20 [短歌]

喝采も罵声もともに栄養と化して真冬の意志の邁進

柴田『俳諧博物誌』より4

2012/01/21(土) 15:04:14 [引用▼日本]

……『山嶋民譚集』(柳田國男の著作)によると、河童に関する記録は近世の二、三百年に偏っていて、古いところには見当たらぬそうである。その点俳諧の歴史と共通点がないでもない。北は奥羽から南は九州まで、諸国に散在している模様もまた俳人の分布とほぼ趣を同じゅうするにかかわらず、河童の俳句は極めて乏しい。


すべりてや河童流るる爪の皮 風流
河童がちからおとしや厚氷 和丈


この二句はいずれも芭蕉以前、談林時代の産物である。……

尾山台での路上活動

2012/01/20(金) 23:38:10 [【11-12】夏と愛と]

 (東急大井町線尾山台自由が丘二子玉川の丁度中間ぐらいに位置する駅。駅の西側は、長くて急な下り坂が続く高台になっていて、多摩川方面への眺望が広やかである。そんな高級住宅地の一隅で、冬の夕刻に路上活動を試みた。)



十字路に立ち
既に夜、
既に冬、
既に詩人以外の何者か

柴田宵曲『俳諧博物誌』より3

2012/01/19(木) 01:31:01 [引用▼日本]

子供の頃読んだ御伽噺に、狸が汽車に化ける話があった。いつも腹鼓ばかり打って暢気だとお月様に笑われた狸が、実は汽車を開業しようと思っていますという。翌晩同じ野原を照らしていると、向こうから俄かに汽笛が聞こえて、汽車が進んで来る。それが狸の仕業だったのには、さすがのお月さまもびっくりした。爾来狸は図に乗って、本当の汽車に向かって突進する。機関士が慌てて汽車を止めるのが面白いので、何度も同じ悪戯を繰り返しているうちに、とうとう狸の所為であることがわかって、汽車は構わず走って来る。衝突すると同時に狸は轢き殺されるという筋であった。これはその作者の創意に成る話と思っていたところ、後年に及んで全国到る処に同様の話があり、明治の新事物に対して狸が大袈裟な化け方をしたものだということを知った。……汽車に化けるなどは少し新し過ぎるが、この特徴はたしかに看過すべからざるものであろう。明治の俳人は逸早く句中のものにしている。


枯野原汽車に化けたる狸あり 漱石

サンドイッチ

2012/01/18(水) 12:50:30 [短歌]

自販機のサンドイッチも非人道的な域まで冷やされている

【模戯試験】01.武田邦彦「福島県民は日本人ですか?」

2012/01/17(火) 22:41:51 [未分類]

次の文章は、東京電力福島第一原発事故から約十カ月後に、ある工学者が書いたものである。内容を良く理解した上で、設問に答えよ。
 

大変、失礼な言葉ですが、福島のあるA首長さんが言われた言葉なので、そのまま表現しました。日本人は、日本の法律で1年1ミリシーベルトを被曝限度とすることで、「日本人」を被曝から守ってきました。

 その点では、1年1ミリシーベルトを超えている福島に政府は除染もしないのですから、論理的には福島県民は日本人ではないと言うことになります。また安全委員会は「1年5ミリ以上を「B著しい被曝のリスク」として、10万年に1度なら5ミリにする」という決定を自らしていたのに、それは国民全体では無かったと言うことです。

 その意味では、東京の人が日本人で、福島県民も新潟県民も日本人ではありません。日本人にA級(東京)、B級(福島と新潟)と区別するからこそ、東京で使う電気を福島と新潟で作っているのです。

 東京に原発を作ると、東京の人を1年1ミリで守ることができず、それは法律で日本人を守るということにならないからです。

 今回、セシウムの降下物量が50倍にも増えても政府は警告を出さないのですから、ハッキリと国民をA級とB級に分けて、それを報道も容認していることを示しています。イヤな日本になったものです。

 「絆」などという怪しげな言葉が出てくるのは、国民を二つに分けたことを隠すためでしょう。……(後略)

出典:武田邦彦「福島県民は日本人ですか?」より(2012年1月11日)
http://takedanet.com/2012/01/post_b4ac.html


問題1.
下線部A首長の正しい意味を、次の選択肢1~4より一つ選びなさい。

1.首の長い人。またそのありさま。
2.福島県沿岸でかつて化石が発見された首長竜、フタバスズキリュウのこと。
3.日本の妖怪、ろくろくびの親しみを込めた呼び方。
4.市長や町長、知事などの自治体の行政のトップ。

問題2.
下線部B著しいの正しい読み方を、次の選択肢1~4より一つ選びなさい。

1.ちょしい
2.ちゃしい
3.しょしい
4.いちじるしい

問題3.
この筆者が伝えようとした内容に、最も近いと思われるものを、次の選択肢1~4より選びなさい。

1.福島のある首長が言ったように、福島県民は日本人ではないので、日本の法律で守られる必要はない。

2.1年1ミリシーベルトを超えている福島を政府は除染しないが、論理的には福島県民は日本人ではないと言うことになっているので、特に問題はない。

3.政府が決定した限度を超えて福島は被曝しているのに、東京の政府は何も対策を取らない一方で、東京の人が原子力発電の恩恵だけを享受している現状は、同じ日本国民を差別的に扱っており、問題だ。

4.福島県民は日本人ではなかったが、今回新たに新潟県民も日本人ではないことが判明した。

ココア⇔コーンポタージュ

2012/01/17(火) 00:23:09 [【11-12】夏と愛と]

一人きりココアを最後まで飲んで自身がここまで冷えていたと知る



夕闇にコーンポタージュ噛みおれば今日は勤勉だったと誇れる

柴田宵曲『俳諧博物誌』より2

2012/01/16(月) 23:00:03 [引用▼日本]

鳶の香も夕だつかたに腥し(其角)



……一句の趣は頗る異色に富んでおり、鳶の多かった江戸市中の空気が連想されるのみならず、爽快なる驟雨の感が十七字に溢れている。仮にこういう題があったにしても、この趣は都会詩人たる其角の実感から生まれたものに相違ない。……漢詩では「龍気腥」などといって、夕立に腥の字をよく用いる……言葉は其角一流に捻っているが、鳶を描いて鳶を離れ、一脈の涼風を紙表に漂わしむる点で、この句は嶄然他をぬいている。渡辺崋山の俳画に市中伯雨らしい光景を画いて、それに「鳶の香」の一句が題してあったことを思い出す。

荻窪駅北口の境界

2012/01/16(月) 00:09:54 [【11-12】夏と愛と]

 有名ドーナッツ店「一っ久家」から流れ出す甘い香りが、荻窪銀座商店街奥の焼鳥屋の匂いと交代する時が、荻窪駅北口バスロータリーにおける昼と夜との境界なのだろうと考えながら僕は、秋と冬との境目に立って詩を売っていた。

柴田宵曲『俳諧博物誌』より1

2012/01/15(日) 21:16:57 [引用▼日本]

……林若樹氏のいわゆる風流無責任論で、菜畑に舞う片々たる蝶の姿も、卵を産みつけに来るのだと思えば、可憐とのみいい去ることは出来ぬかも知れぬが、俳人は蝶の前身や後進に思いを致さず、ただ眼前の姿の美を句にしている。「胡蝶にもならで秋ふる菜虫かな」というような者は極めて少ない。

新富町

2012/01/14(土) 21:27:21 [詩文・俳文]

 川かと思ったら首都高だった。
 新富町駅を出た瞬間に、築地駅の入口が見えた。
 碁盤目状に道路が走る区画に並んだ雑居ビルの一階に、時々小料理屋や居酒屋やラーメン屋があるだけの街をいくら歩いても、詩になりそうなものは何も見つからない。

武蔵野多摩キャラクターズベルト

2012/01/14(土) 02:41:20 [【11-12】夏と愛と]

 宇宙に恒星を産出するのは、天文学的な巨大さにおいて展開される物理の力である。
 夜空に星座を見出すのは、人間の想像力である。



 大泉学園には、東映のアニメスタジオがある。
 井の頭公園には、ジブリ美術館がある。
 調布には、鬼太郎茶屋がある。
 そして登戸に、藤子・F・不二雄ミュージアムが開館した。

 大泉学園駅と、吉祥寺はバスで接続している。
 吉祥寺と調布もバスで接続している。

 昭和後期の子供達を相手に創作活動を行ってきたマンガやアニメの成功者達が、東京西郊に伸びゆく鉄道沿線のある街にそれぞれに拠点を構えた。ある者は住居であり、ある者はスタジオである。それらの拠点は、都心からほぼ等距離にあり、自治体同士は隣接もしくは近接している。
 それら巨星の光に照らされて育った子供達が成人し、自らが親の世代となるのと並行して、街にはあるいはミュージアムが開館し、あるいは観光施設が建てられ、その作中のキャラクター達が描かれた電車やバスが走るようになった。西武池袋線には『999』のキャラクターが描かれた「メーテル車両」、三鷹駅からジブリ美術館へ向かうコミュニティバス、その名も「鬼太郎バス」と呼ばれる調布市のコミュニティバス。登戸や向ヶ丘遊園から藤子Fミュージアムに向かう川崎市営バスの車体にも、もちろんドラえもんを筆頭に藤子Fキャラクターがラッピングされている。新しい親達はやがて、幼い子供とともにそれらの公共交通に揺られて、創作者達に由来の施設に通うようになる。
 武蔵野多摩キャラクターズベルトはこうして形成された。
 それは戦後児童文化史や大衆文化史の帰結である以上に、戦後経済史や交通史や住宅政策史の投影物なのである。上京し、就職し、成功し、結婚して家族を築くというのが多くの日本人の夢であった時代がかつてあって、東京西郊の各鉄道会社の繁栄や沿線自治体の発展はもちろんその夢の上に成り立っていて、それら創作者達自身のライフヒストリーもまた、その典型例なのだから。
 言い換えれば、戦後児童文化史の年表と社会経済や人口動態のグラフとを結合して、武蔵野台地/多摩丘陵という平面にプリントアウトしたのが、これらのキャラクターズミュージアムであり、キャラクター交通であり、キャラクター自治体振興政策なのである。補助線である各鉄道の遷移も驚くほど似通っている。すなわち、西武池袋線は現在、練馬区西端の大泉学園駅周辺で高架化工事を行っており、JR中央線は武蔵野市の武蔵境駅の高架工事をつい最近まで行っており、京王線は調布市内の駅と路線を地下化する工事を進行している。



 西武池袋線大泉学園駅と、JR・京王吉祥寺駅はバスで接続している。
 JR・京王吉祥寺駅と、京王調布駅もバスで接続している。
 しかし京王調布駅と、JR・小田急登戸駅はバスで接続していない。
 武蔵野多摩キャラクターズベルトの星座のラインを、ここまで忠実に具現化してきたバス路線の素描は、残念なことに一度ここで途切れてしまう。
 鬼太郎茶屋の東京都調布市と、藤子Fミュージアムの川崎市多摩区とは、地図上においては隣接しているが、多摩川を挟んでいるためその往来は容易ではない。両自治体を直接繋ぐ自動車道は存在しない。調布から登戸に行くには、稲城市や狛江市を経由するか、鉄道を使って乗り換えなければならない。
 しかしかつては、多摩川のこの辺りには、渡し船があった。つげ義春のマンガにしばしば出て来るように、渡し船があった。しかしその存在は、多摩地域の交通政策において現在は全く忘れ去られている。それは丁度、つげ義春の一連の作品が戦後マンガ史の裏面であり、その登場人物が戦後経済発展史の明るさの外側に置かれているように。



 西武池袋線―JR中央線―京王本線―小田急小田原線と連なるキャラクターズベルトが、登戸より南進する気配は目下の所観察されない。小田急の南を走るのは東急田園都市線や同東横線であり、さらにその南では京浜東北線と京浜急行が工業地帯の足元を固めているからだ。戦後の児童文化や大衆文化は本質的に中産階級に属していること、つまり上流階級(ハイソサイエティ)やブルーカラーに抗しえない、もしくはそれらを見て見ぬふりをすることで成り立ってという事実が、こんな所からもわかる気がする。
 けれども多摩川の南の涯てで、キャラクターズベルトのそれとはまた異なった性格の、若い世代の恒星の光を人は目撃する。日々大空を飛ぶピカチュウ達のジャンボジェット。
 


 そのような、一連の天文劇の舞台である東京西部の台地や丘陵の対角にある座標、すなわち東京東部の埋立地には、多少衰えが見えて来たとは言え、恒星の等級などを無意味化するほどの圧倒的な光度と破壊力を未だに保って、太平洋の彼方からやってきたあの鼻もちならない白手袋のネズミが君臨し続けている。かつては自らパイロットとなって吾等の父祖を殺戮してみせた、あの攻撃的で凶悪なネズミが今日も歌って踊っている。全ての議論の前提である戦後という時空を産み出した、彼等の圧倒的な軍事力(バイオレンス)の性格を、やはりあのネズミは体現しているように思える。

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