中立地帯としての家電量販店

2013/09/25(水) 01:00:44 [【12-13】オレンジをアップデート]

 現代社会において生活するならば誰もが何らかの形で、電化製品・電子機器・通信機器を必要とする。それはその人間がおかれた社会階層・経済状況・思想信条・人種性別容姿人格その他がどのようなものであっても変わらない。またその事実は、社会全体の巨視的な変化、政変・好不況・大規模災害等によっても揺らがない。
 だから家電量販店は、現代の消費社会における中立地帯として機能する。誰からも平等に求められ、また誰もを平等に迎え入れる白亜の伽藍。多様化し分裂化する現代人の生活様式の最大公約数を司る神殿。赤坂に新しくビックカメラが開基したという事実には、驚くべき点はとりたてて存在しない。私達は既に、久しい以前からエネルギーとエレクトロニクスとの忠実な信徒であり、また何時の間にか、それ以外には何の共通項も持たない存在なのであるから。国会議事堂と首相官邸との足下に当たる港区の一等地において、誰に対しても平等公平なこの空間は、ある種のデモクラシーの理念を具現化する崇高な使命を帯びているとさえ言い得るのかも知れない。この神殿内において四ヶ国語のアナウンスが流されるのは、その理念のようなものが世界宗教的な普遍性すら有しているからなのかも知れない。
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『寒山詩』より6

2013/09/04(水) 07:22:35 [漢詩漢文の勉強]

余が家に一窟有り、
窟中に一物も無し。
清潔にして空しく堂堂たり。
光華日日に明らかなり。
疏食微体を養い、
布袋幻質を遮る。
さもあればあれ、千聖現るるとも、
我に天真仏あり。

ビックカメラ赤坂見附店

2013/09/04(水) 01:15:20 [【12-13】オレンジをアップデート]

 長い間休業中だった赤坂見附駅上の商業ビルが、全館ビックカメラとして営業を再開した。良くこの場所に出店したと思う。その勇気と決断力に感心する。
 店内を歩いてみる。どこにでもある、ごく普通のビックカメラである。新宿や池袋や有楽町に所在する同店と、ほとんど変わるところがない。それはつまり、書くことが特に何も無いということでもある。その安定感に圧倒される。(ブックオフですらそれなりに地域差があるというのに。)
 JR東日本の権力を嵩にかけたあの高圧的なアトレほどではないにしても、家電量販店にもまた、街や土地から、そのイメージや歴史性や固有性を剥奪し、漂泊し、均質化する性質がある。善悪はまた別にして、その性質は、明確に暴力的な力である。吉祥寺のかつての風俗エリア、「近鉄裏」と呼ばれた一角が、ヨドバシカメラの登場によって半壊に追い込まれたという話を、三鷹出身の詩友から聞いたことを思い出した。
 二階ではサンマルクカフェが開店に向け内装工事中だ。

 港区内の大衆商業施設としては、六本木のドンキホーテぐらいしか私には思い浮かばなかったが、このビックカメラの登場によって、街の風景も、人の動線も確実に変わるだろう。(この近隣に、もしブックオフが出来たら、いよいよ凄いことになるなとふと考える。)交差点のすぐ向こうを走る首都高の高架下に仮設の駐輪場があるのを見つける。この地域でも、自転車の利用者が増えているということだろう。新しいビックカメラの登場と、この駐輪施設は関係があるのかと係員の老人に聞いてみると、いや、ここは自治体の施設だから特に関係はないとの返答だった。
 この辺りを走るちぃばすは青山方面へ向かうものらしい。夏の午後の角を曲がる。

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