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串田孫一「雲の母体」8より

2011/06/04(土) 00:54:15 [引用▼日本]

 

どうして今この道を私が歩いているのか判らなくなると、過去の記憶の中に滑りおちたのか、それとも未来の空へと夢の浮遊をはじめたのか、いずれにしても現在の感覚とは思えない。
 ひとつの地点に暫く立って、風景と心との明暗に或る種の安堵を得られるところではなく、存在する限りは歩み続けていなければならない宿命のような道である。
 照り返す日光に汗を流し、その汗の雫が乾いた土にころがれば私は目覚めるのだろうが、大地を踏む自分の足音も聞こえず、草も匂わず、憩いを促す翳の領域も見えない。
 この道の果てに何がある。多分勢いよく立ち上る雲の母体の空があるだけだろう。

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