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串田孫一「山の博物手帖」より3

2012/02/17(金) 21:48:12 [引用▼日本]

 

水の音、風の音、風による木々の幹の軋み合う音。氷にはねかえり、無数の矢になって飛び交う光。水につかって網目をつくる光。
 これらのものも、私の手帖には書きつけられる。生命の生あたたかさから遠く離れた、向こう側の世界が山にはあった。それを綴ることもまた博物誌になるのかどうか。
 水の温度や、風速、あるいは光の分散、それらが気象や物理の学問から静かに浮き上がって、地上とは思えない色や音をきかせている時に、私の手帖は閉じられる。書き記すべき記号も、説明し、再現する言葉がないからである。
 その世界は、昔、山に住むことを試みた人たちが、異常な状態になって見た世界。それが忘れられずに、憧れ、さまよって消えて行った世界に違いない。

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