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京王バス 永福町→高円寺南口

2013/07/01(月) 14:45:15 [【12-13】オレンジをアップデート]

 井の頭線永福町駅は、基本的には住宅街の中に位置しており、周辺にそれほど商業施設が多いわけではない。駅出口の近くには取りあえずドトールとケンタッキーとパチンコ屋とがあるが、マクドナルドは存在しない。駅周辺よりも、むしろ駅ビルの各階層に、生活上必要と思われる様々な店が集住している。スーパー、本屋兼文房具屋、パン屋兼喫茶店、洋服屋……。駅ビルの屋上は小さな公園のようなスペースになっており、週末の午後になると子供を遊ばせる家族連れの姿が散見される。
 高円寺駅南口行きのバスは、駅の東側を通る幹線道路の路肩から発着している。その車体は、一見して普通の路線バスと比べて明らかに小さく、短く、定員も少ない。乗ることが出来た。
 乗ることが出来た、というのは、乗客数のことではない。バス停の時刻表によると、このバスが高円寺まで直通している時間帯は限られており、夜は十八時台で終わってしまうのである。それ以降は、京王線と中央線との間の、どこなのか良くわからない杉並区のどこかで降ろされてしまうことになる。
 発車するとすぐに左折する。交差点には、つけ麺の有名店の一、永福町大勝軒の出汁の香りが充満している。同店前に並ぶ行列を後にしつつ、一方通行の商店街の、あまり幅広いとは言えない道を徐行していく。車窓からみた限りでは、この商店街はさほど賑わっているわけでも活気に溢れているわけでもないが、それでもそれなりに人の波がある。
 再び車道に出る。左折する。「高千穂商科大学入口」というバス停がある。全く知らない、名前も聞いたことが無いような大学だが、遥か以前、二十世紀の終わり頃に、試験監督か何かのアルバイトで来たことがあるような気がする。
 バスは右折して、再度住宅街の隘路を走り始める。大宮八幡という神社の森が視界の左手に結構長く続いた後、善福寺川を渡って、スポーツ公園のある一帯を通る。車窓には存外に緑が多い。誇大に表現するならば、初夏の明るい夕刻の緑のワープゾーンを通過している気にさせられる。疾走感は無いが、爽やかだ。
 住宅街の狭小な道を走り続ける。松ノ木住宅とか、松ノ木公園とかいう固有名詞に、時めくものを感じてしまう。こんなに狭い道を走るのだから、この路線はやはりこの車体でなければならなかったのだろう。コミュニティバスではないが、コミュニティバスに非常に近い役割を地域交通において果たしている。
 高円寺は割と良く遊びに行く街だ。駅南口のロータリーからこのバスが発着する風景だけは、何度も目撃していた。車体に表示される永福町の文字だけは認識していたが、それがどんな街で、またどんな道を通ってここまでやってくるのか、全く知らなかった。今、このバスが進むほどに、その全く知らなかった道が明らかにされていく。
 五日市街道に出る。大法寺前、丸ノ内線の新高円寺駅を経て、あとは普通の自動車道だ。北へ向かって直進し、終点までの所要時間は永福町から十八分。バスは回送車両となって去って行く。降車したバス停の隣のバス停の屋根の下で、ストリートミュージシャンが一人アコースティックギターを弾いている。まだ明るい。
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