虎ノ門ヒルズ

2014/08/20(水) 13:32:00 [【13-14】※現在工事中です]

 銀座線虎ノ門駅構内の案内表示に従って、二番出口に向かって歩く。当然のことながら、すれ違うのはやはりワイシャツ姿のサラリーマンが多い。地上に出る。暑い。少し歩くと、虎ノ門ヒルズの鋭角な尖端が見えてくる。四角形ではないということ以外に、何の意味があるのだろう。建築家の幼稚な自己顕示欲を満たしたいためだけの形状ではないのか。軽薄な差異化の欲望だけが具現化した大型建築物にしか見えない。
 高層建築の下層階に少し変わった商業施設を設け、話題作りをして集客を行う都心再開発は、九〇年代後半からゼロ年代にかけて盛んに行われたと記憶している。誰もが知るそのモデルケースが、六本木ヒルズであり、丸ビルである。それらと比べると、この虎ノ門ヒルズの商業エリアは規模も小さく、地味な印象を受ける。この夏に公開されるドラえもんの新作映画の宣伝を、屋内の各所で行っている。予告編の映像も流されている。ドラえもんの体色を白くして黒い虎縞を描き、猫耳を付けた「トラのもん」なるキャラクターが、この虎ノ門ヒルズのマスコットキャラクターなのだそうだ。勿論、ゆるキャラなどではない。藤子プロ公認である。
 本物のドラえもんトラのもんの等身大人形が、二体仲良く並んでいる。これを見にきた。見た。特にどうということも無かった。



 この種の建築物に入っている飲食店は大抵割高だ。今回も例外ではない。その中で一番安そうな店を選び、大皿に主催や副菜が盛られたランチを食べる。やはり安くて飲みやすそうなトカイワインを一杯だけ頼む。 
 広いテーブルで食事をしていると、正面の席に座った二人組のOLの、年輩の方が社長の愚痴を言い始める。社長にはコミュニケーション能力が無いという。若い方の女は、でもそんな社長の相手が務まる先輩はスゴイですと応える。オフィス街の午後の、どこにでもある会話、どこにでもある風景。会話の端々にリチャードとかいう名前の、役員か幹部社員らしき人名が出てくる。外資系企業っぽい雰囲気がある。
 結局、このビルの中では、新しいものは何も見つからない。まあ別に、元々不動産屋に新しい文化を産み出す能力があるわけでもない。



 周囲を探索する。西新橋側には、結構個人住宅が残っている。
 新しく整備されたというその幹線道路を、溜池山王側に向かって歩く。途中で振り返ると、虎ノ門ヒルズの地下に吸い込まれる車道の姿が見える。今日この場所で見たものの中で、その構図だけが、新しいと言えば新しいと感じる。
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