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万世橋マーチエキュート

2014/11/11(火) 16:02:47 [エッセイ]

 神田お茶の水間の高架下、戦前に存在した旧万世橋駅跡地に、JR東日本の商業施設が開業した。秋葉原側から歩いて行くと、神田川に沿って緩くカーブした高架線の煉瓦造りの外壁が目に入る。その瀟洒な佇まいは、いかにも戦前のモダニズムといった感じがする。
 外観を裏切らず、各種テナントもまた、オシャレ系のショップが揃っている。飲食店、インテリアショップ、ギャラリー……。おそらく、JR東日本とその関連企業は、高架下という空間が持っているイメージを根本的に刷新したいのだろう。その方針はここに限らず、例えば近年の武蔵境~東小金井駅間の高架下開発などにも見て取れる。そしてまた、高架下空間のオシャレ化、ブランド価値化推進路線の陰画として、少し以前に話題になり、サヨク方面やサブカル方面の反発をかった、阿佐ヶ谷駅高架下の大規模リストラがあるのだろう。
 旧万世橋駅については、机上の知識しかない。この地に関する現実の私の記憶は、何よりも幼い頃祖父に連れられて行った、旧交通博物館の思い出である。つまり昭和時代の思い出である。懐かしい。祖父の青少年期において廃された旧万世橋駅の、跡地に残された交通博物館もまた、私の中年期において閉館となった。
 今の私にとって、旧交通博物館が懐かしいように、祖父にとっては、旧万世橋駅が懐かしいのかもしれない。交通博物館は、世紀と元号とを跨ぎ、二十一世紀の平成時代まで存続していたのだが、この新しい商業施設、マーチエキュートは、一体何時までこの場所にあるだろうか? 私の子供の世代か、孫の世代かはわからないが、後世の人々のノスタルジーを喚起し、惜しまれ懐かしがられるような空間になるだろうか?
 高架下スペースのエントランスのような空間に置かれている、旧万世橋駅周辺を再現したジオラマを何となく眺めながら、何となくそんなことを考えた。さすがに精緻に作られている。何枚も写真を撮影した。
 旧駅のホームのスペースを利用したダイニングバーでしばらく過ごす。値段は、やはりやや高目だ。中央線の上下線のレールに挟まれた、絶好のトレインビュースポットだが、客の数はそれほど多くない。私以外には、仕事上の打ち合わせをしているらしきスーツ姿の若い男性二人組と、同じく女性二人組が居るだけだ。金曜日の午後五時過ぎなのに、新しく客が入って来る気配もない。
 オレンジ色の中央線車両に混ざって、カラフルな特急車両が上り線を走ってきた。特急ではなく、青梅ライナーの表示を車体の電光掲示板に掲げている。暫くすると、今度は下り線を走ってお茶ノ水方面へと去っていく。その速度は存外に速く、上手く写真に収めることが出来ない。完全な闇となった秋の空間に溶けるように吸い込まれるように消えていく。
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Comment


交通会館は、自分が鉄道好きだった小学生の頃に行って感激した記憶があります。
万世橋付近は、古き良き昭和の頃と平成が共存する良い街だと思います。
Re: タイトルなし
ありがとうございます。
長い文章も、ちゃんと目を通して感想を書いて下さり、感激です。


> 交通会館は、自分が鉄道好きだった小学生の頃に行って感激した記憶があります。
> 万世橋付近は、古き良き昭和の頃と平成が共存する良い街だと思います。

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