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雑司ヶ谷下水道水難事件

2008/08/14(木) 05:11:33 [【07-08】雑司ヶ谷下水道水難事件]

明治通りを跨ぐ千登世橋
そのすぐ隣を並走する都電荒川線を跨ぐ千登世小橋
随分な高さにあるため、
南側を眺めると新宿西口の高層ビル群が良く見渡せる。
これは、この橋を渡している目白通り自体が、
高台の一番端の辺りを走っていることに拠る。
目白通りから高田馬場、早稲田にかけては、
都内でも有数の急峻な下り坂となっており、
その谷の底を神田川が流れている。

この台地上に位置する雑司ヶ谷下水道で、
工事中の作業員がゲリラ豪雨に襲われ、
突然の激流に呑まれて五人も死亡する事故が起こった。
地形が急峻な下り坂になっているなら、
下水道もやはり急峻な流れになっているのだろうか?
抗いがたい水流の圧倒的な力によって、
暗闇の中をただ押し流されていく。

その恐怖はどのようなものであったか、
俄かには想像しがたい。

炭鉱事故のような凄惨な死に方である。
労働条件がまだ劣悪だった、
高度経済成長期以前のような悲劇に
現代の日本で遭遇するとは誰も思わなかったであろう。
死体は下水道から神田川に流され、
遙か下流の文京区後楽園付近で見つかったと言う。



東京を流れる河川は、現在はその多くが暗渠化されている。
都市空間の有効利用のためである。
だが、神田川は違う。
だから人々は、神田川の風景にロマンを感じる。
この東京で、本来なら地下化されて隠されるはずの施設が、
地上に露出していることによって。

このことによって、都電荒川線の魅力の由来もわかって来る。
やはり高度経済成長期以降、
東京の路面電車は次々と地下鉄に置き換えられていった中で、
荒川線だけが、今でも地上を走行し続ける。
荒川線は、潜在的な「地上を走る地下鉄」なのである。
このことに加えて荒川線は、
下町の、普通の民家の裏庭という、
やはり通常なら隠されてしかるべき空間を垣間見せてくれる。

丸の内線にしばしば見られるような、
地下鉄の地上走行部分がやけにスタイリッシュに思える心理も
同様の理由でほとんど説明がつくだろう。
やはり隠されているものが地上に露になる瞬間であり、
特に神田川と交差するお茶の水‐淡路町間は、
二つの地下動線が公然と交差する
またとないパノラマであるからだ。

下水道、荒川線、地下鉄丸の内線
通常ならば地下空間に隠されて見えない諸々のインフラ、
いわば都市の伏流が、
東京の台地に走る大いなる断裂である神田川において
白日の元に晒される。
そしてまた、都市の暗渠を地下空間にあって支え続ける人々の
過酷な労働の現実も、また、この水流において露呈する。
ヒートアイランド現象と地球温暖化が生み出した
凶暴なるゲリラ豪雨が、
今日の夕暮れもこの断裂に濁流となって流れ込む。



千登世橋千登世小橋の高みより
遙かに望むビルと青空
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